宗谷本線を普通列車で乗りとおす旅

今日稚内駅から乗る5時20分発の名寄行きに乗るために私は4時起きしてさっさとホテルを出て4時40分には駅に着いた。さすがに北海道でもこの時間帯はまだ暗く、離れたところに見える防波堤ドームにはまだ照明がついていた。そういえばあの防波堤ドームのところにはSLが保存されているはずだが、こんなに真っ暗だと見に行ってもしょうがない。まさに闇夜のカラスである。
駅についてみると、コンビニは閉店している。24時間営業ではないセイコーマートだから当然だろう。昨日のうちにパン買っておいてよかった。それより問題なのは、こんなに朝早くから駅に来たのに駅前に一人すでに人がいる。…自転車の輪行袋を持っているので、あれは鉄ヲタというよりは自転車野郎かもしれない。もしかしたら駅で野宿か?だが、始発列車に乗るため行列を作っている風には見えないので私が駅入り口の真ん前に並んでやる。
発車40分も前に駅にきて先頭を陣取ったのは意味があって、一番座りたい座席を確実にゲットするためである。それは当然、海側の窓側席。しかも、宗谷本線で走っているキハ54は基本的に座席と窓割が合っておらず、きちんと外が見られる座席は数カ所しかない。のこのこ後からやってきて景色の見える良い席が埋まっていたら、ここまで大金はたいてやってきた意味がない。あと、このキハ54は日本で数少なくなった非冷房車であるので、あわよくば窓を全開にしてたっぷり風を浴びたい。
しばらく待っているとやがておじさんがやってきて駅舎のカギを開けてくれたのでいの一番に中に入る。この人が駅員かというとそんな雰囲気ではないので建物を管理している人なのだろう。
ホームに入ると本当にホーム一本だけのいわゆる棒線駅。もう落ちるところまで落ちたなという感じ。そこで30分近く待つと、ようやく南稚内から列車が回送されてきた。実は南稚内のほうが市の中心部に近くて駅も大きく、夜間に列車が退避する車庫もある。
結局始発では私と自転車野郎ともう一人の3人だけ乗って出発。まあ、結論から言うとこんなに力んで乗る必要なかった(^_^;) もしかしたらもうちょっと鉄ヲタがいっぱいいるかと思ってた。ホテルも若干取りづらかったし。
南稚内でもう一人乗って車内は4人だが、全員私と離れた前方に座っているので、後方に座っている私としては窓全開のチャンス!…しかし、あまりにも寒い(^_^;) 朝早すぎて外が寒いので窓を開けるといってもほんのちょっとしか開けられない。しかしそれだと物足りないし早起きしたので眠気が襲う。しかし、ここは遠慮しておいた。
幌延で鉄っぽいのが2匹乗ってきた。幌延なんかで宿取って乗ってくるんだ。えらい中途半端やな、と思っていたら一匹は次の上幌延で降りやがった。は?周辺何もないけど??もしかして鉄みたいな恰好の地元民かと思ったが、いやそれにしても不自然すぎる。
と思っていたら、もう一匹はその次の南幌延で降りやがった。南幌延はホーム長0.5両分しかない超無人駅で周辺は家すらない。…ああわかった。こいつら横見の真似してわけわかんない無人駅で乗降してるんだな。ということは、もうすぐ下り列車と交換するからそれに乗って稚内方面に向かうのだな。
というわけで、次の次の駅である雄信内で稚内行きと行き違い。雄信内も列車交換できるとはいえたいがいな無人駅で周辺に何もない。実はこの近辺では2000年以降3駅が廃止されていて、雄信内の隣にあった上雄信内駅も廃止されている。雄信内駅のありさまを見るとこの駅も危ないし、正直言ってここまで南稚内、豊富、幌延以外の駅は要らないような感じがした。これからもどんどん駅が無くなるかもしれないし、線路自体無くなる危機である。
なお余談だが去年、幌延町内の下沼、南幌延、糠南の3駅廃止問題が持ち上がり、これらの駅は幌延町が維持費負担することで廃止を免れていた。うーむ、せっかくだけど鉄しか降りてないけど…(^_^;)
南幌延を発車した時点でついに我慢しきれず窓を全開。乗客はほとんどいないし晴れて気温が上がってきたというのもある。いやーやはり気分がいいね。問寒別は久しぶりに駅らしい駅、といっても駅前に集落があるという意味でのことだが。かつてはここから軌道が出るくらい繁栄していたのだ。
気分良く窓を開けていたが、しかし残念なことに天塩中川の付近で太陽が出ているのに雨が降ってきた。なんだよこの天気。しかも山間部に入ってまた気温が下がったようだし、窓全開は諦める。
音威子府の一つ手前の駅は筬島。ここも廃止問題が持ち上がっていて、今年度はとりあえずJR北海道は廃止を取り下げている。それに危機感を持ったか今年は筬島でイベントがあったそうだが、今調べてみるとなんと!筬島の硬券入場券を作って売っているではないか!…さすがに、それは買えない。せめて通販してくれれば売り上げに貢献したいのだが。
音威子府は鉄道の町だった。今でもJRの社宅があったりして名残がある。ここの駅そばは地元産そば100%使用で昔から有名だが、私が天北線完乗後に食ったところでは結構硬かった印象。まあ、そばとは本来そういうものなんだろうと思った。その蕎麦屋はたしか2,3番ホームの端っこにあったように記憶していたが、今見るとそのホームには何も無い。1990年の駅舎改築時に駅舎内に移ったそうだが、そのほうがいいわな。
音威子府から美深の間に天塩川温泉駅というのがある。駅前には何もないがどこに温泉が?と思ったら結構遠くに温泉施設らしき大きな建物がある。いやー結構遠いぞ、Wikiで調べたら700mも離れているらしい。その温泉に、宗谷本線を使って行く客がいるとは思えぬが。
美深の一つ手前の初野駅は仮乗降場上がりの超無人駅、周囲には何もないのに美人の姉さんが乗ってきた。思わず駅の周囲をガン見してしまった。歩いてきたのか?家の人に駅まで送ってもらったのか?一日数人とはいえこうして地元の利用客は確かにあるのだ。
美深は美幸線が分岐していた駅。美幸線の終点仁宇布にあるトロッコ王国にまた行きたかったのだが、前日のVOYAKIの通りそれは早々に諦めている。でも、諦めなかったらもしかして筬島にも行って硬券買っていたかも。…いや、そんな妄想はよそう。
音威子府から少しづつ客を拾いながら、終点の名寄へ。音威子府以北は正直要らなくね?としか思えない客の少なさだった。線路廃止が心配だ。平日はいっぱい客がいるのだろうか。