悲惨な平渓線

平渓線菁桐ゆきは4両編成、瑞芳を超満員で出発。三貂嶺までは本線の宜蘭線だから高速運転するが、いよいよ平渓線に入るとゆっくりのんびり走る。たしかに沿線はのんきなローカル線だが、車内は全然のんきじゃない。客の大半は途中駅の観光地・十分が目的だろうと思ったが、ちょっとトイレに行きたい気もしてきたし、我々も十分で降りることにした。
十分駅は狭い山あいにへばりつくように存在し、駅前はないに等しい。にもかかわらずものすごい数の観光客。駅のトイレには長い行列ができ、公衆トイレも見つからず。必然的に十分観光をしながらトイレを探すことになる。
十分とはよくテレビ等で見る、線路で気球を揚げてるアレ。あの線路が平渓線で、列車が一時間に一本しか来ないことをいいことに線路に入り放題しているところである。それがもう名所になってしまって取り締まりようもないという感じだった。まああの一帯があまりにも狭すぎて、線路も使わないとどうしようもないというところだろう。
あの気球だが、見てると結構乱暴に揚げている。乱気流が発生して気球が家に激突したり平気でしている。あれでよく火災にならんな!いったんあがってしまえば気球ははるか高空に登って行って山を越えて遠くに飛んで行った。その姿はたしかに趣があってよい。
結構遠くまで歩いて行ってようやくトイレを発見して、戻ってくるだけで一通り十分の街を見た感じ。そういうしているうちに一時間が経ち、次の列車が来た。次の列車も超満員、駅に着くとどっと乗客が下りてくる。正直、ここから先はもっと空いてるかと思ったがまたしても立ちん坊。列車は渓谷沿いを走るのだが、ここで我らはある疑問に思っていたことの答えを得た。
さっき見た気球は空高く飛んで行ったが、いずれ燃料が尽きて落下する。そうなった後の気球はどうなるのだろうか。…答えは、ゴミになる。そう、沿線のあちこちに落下した気球がゴミになって散乱している。平地に落ちたら拾うのだろうが、あるものは木に引っかかっており、あるものは谷底に落ちている。手の届かないところのはほったらかしである。もしかしたら、気球は雨にぬれたら溶解する材質なのだろうか。でなければこれは環境破壊ではないか。とりあえず、調子に乗って自分らも願い事を書いて気球を揚げなくてよかったと思った。
終点の菁桐駅と、その一つ前の平渓駅もちょっとした観光地になっていた。が、あんまり長居すると九份に回る時間が無くなる。と思ってここは即折り返しを選択したのだが…ついに同行している嫁がブチ切れた。朝からずっと列車に乗ってばかりでつらいと。特にこの平渓線のディーゼルカーがくっそ遅いし長時間停車がひどいし超満員だしでこれ以上乗っていられないと。
たしかに、私は初乗りということで時間の経つのも忘れるくらい楽しいが、単に乗ってるだけの嫁には苦行でしかない。これは失敗だった。平渓線がこんなに馬鹿みたいに混雑するとは知らなかったし、ことあるごとに長時間停車していっこうに前に進まないのも知らなかった。すべて調査不足ゆえだが、最近はこういう見込み違いも楽しみのうちと思って敢えて調べないで乗ったりするのだが、今回はすべて裏目に出た。