リアル井之頭さん

豊岡も豊岡藩の中心地なだけあって市街は繁栄…とは言い難い静けさ。カバン作りで有名なところでカバンストリートというのもあったが誰も歩いてない…。こんな調子では酒屋を見つけても既に閉店、もしくは売り物の商品も少ないという惨状。その中で唯一気合入れて営業していた酒屋で久しぶりに山崎12年と響17年を見たが…
山崎は2倍、響は3倍の値段で置いてある。ぼったくってんのかと思いつつ店主に話を聞くと、これが切実な問題だった。すなわち、以前はメーカーの方から置いてくださいとお願いに来ていたのに、昨今はいくら電話しても入荷しない。仕方なく九州の業者(こういう酒を専門に扱っている卸らしい)に毎日電話してようやく送ってくれた山崎や響を相手の言い値で仕入れた。
こういう流れなので、2倍3倍の値段で売っても儲けはほとんどないと思われる。これはもう酒屋としての意地。意地がそうさせているのだと解した。ちなみにこんな値段で売ってもネットで買うよりは若干安い。
街歩きしながら、腹が減ったので豊岡市街地にも出石そばの店はないのかと検索したら、今自分がいる場所の近くにある。というわけでそこに向かうと、路地に面した民家みたいな佇まいのそば屋を発見。恐る恐る店内に入るとそこは土間。うーん、私はどうすればいい…
と、店主が上がれというので座敷にあがるといちおうお店の体裁だった。不勉強にして出石そばが何かよく知らなかったのでネットで食べ方を検索して食べる。そばは小皿に少しずつ盛って出てくる。基本は皿5枚である。つゆにつけて食うが、とろろや卵やネギを入れて味を変えながら食うのがおススメ。もちろんネギ嫌いの私はネギ入れないが。
そばは自家製麺で硬くてうまくて良い。
調子こいて皿3枚追加して食って満足したところでネットを見ると、この店には「鳥中華」なる限定メニューが絶品とな。はっ!と思って顔を上げると目の前に「今日、鳥中華あります」の垂れ紙が。ということは無い日もあるのか。
店主に聞くと一日限定5食!山形の天童にはそばより鳥中華のほうがたくさん出るそば屋があるという。山形が本場なのかな…。あとで調べたらやはり鳥中華は山形のご当地麺とのこと。で、鳥中華とは何かというと汁がそばつゆのラーメンとのこと。ここで知ったが最後、食わずには帰れないな。これは運命なのだ!
というわけで出石皿そばを8枚も食ったのに追加で鳥中華も食べてしまった。店主が呆れていた(^_^;) 皿そばも鳥中華もとてもうまかったが、さすがに腹いっぱいである。そして、やってることが全く「孤独のグルメ」そのもの。リアル井之頭さんである。自分でも笑ってしまった。