北総鉄道はなぜにこんなに運賃高いのか

「運賃高すぎ」北総線、印西市長が値下げ要求」…運賃が高いことで有名な北総鉄道沿線の自治体一つ、印西市長が運賃値下げを会社に要求とな。ううむ、気持ちはわかるが北総が運賃高いのはいろいろと複雑な事情があってのことだから、そう簡単には解決せんよ。
北総鉄道京成高砂−印旛日本医大前間を営業しているが、一部区間(小室−印旛日本医大前)は千葉ニュータウン鉄道という線路保有会社から借りて運行している。今年はそれの契約更新の年だとかで、その際に線路の賃料を下げてもらえ、そして下がった分で運賃値下げしろ、と印西市長は言っている。
北総鉄道京成電鉄が50%出資するが残りはURや千葉県・松戸市市川市などが出資する第三セクター鉄道である。そして北総鉄道は開業以来ずっと、現在も巨額の負債に苦しんでいる。鉄道建設時の見込みでは千葉ニュータウンには何十万人も住む予定だったのが今ようやく10万いくかどうかというレベルで目算が大きく狂ったからだ。もしも印西市にたくさん人が住んだら北総の運賃も下がるかもしれない。しかし、北総の運賃が高いから印西の人口が増えないという説もある。一体どっちが先なのか。
というわけで、千葉ニュータウン鉄道が賃料値下げに応じてくれても、その浮いた金は負債の償還に使われるであろうことを考えると、印西市長の目論見は外れそうな気がする。残念だけど。
ちなみに、
北総鉄道は自社路線を運行するだけでなく京成電鉄に線路を貸している。京成電鉄は北総や千葉ニュータウン鉄道など4つの鉄道会社から線路を借り上げて「成田スカイアクセス」を運行している。しかし京成電鉄は「成田スカイアクセス」を運行するのになぜ4社も線路を借りる相手がいるのか。
4社のうち北総鉄道は上記の通りの第三セクター鉄道である。一方、千葉ニュータウン鉄道京成電鉄の100%子会社である。鉄ヲタには常識だがこの会社はUR(住都公団)が持っていた鉄道事業を継承した会社である。URは以前は線路と車両を持ち、運営は北総に委託していたが、鉄道事業法が施行されたときにURは第三種鉄道事業者(線路を貸す会社)になった。その後URが京成電鉄に事業を譲渡したため今の姿になった。100%子会社が親会社に線路を貸す形である。
他の2社、一つは「成田空港高速鉄道アクセス」は成田空港が50%以上を出資し千葉県や京成電鉄も出資する第三セクター鉄道である。もう一つ、「成田空港高速鉄道」はJRとの共用部分を所有しており、JR東日本京成電鉄が3分の1ずつ、残り3分の1を成田空港やANA等が出資する鉄道会社である。
4社それぞれの資本構成が微妙に異なり、官民入り乱れて誠に奇々怪々なことになっていて、スッキリまとめようにも各社・自治体のコンセンサスを得るのは簡単でない。
北総鉄道第三種鉄道事業者になって運行は全部京成電鉄に任せればいい、という主張もある。その方が利用者にはスッキリである。京成の経営努力で北総線の運賃も下がるかもしれない。印西市長はそっちの方を主張したらいいのでは?もっとも巨額負債が解決しないとどもならんが。