復興はまだ始まったばかり

石巻では石巻線の女川行きに乗り換え。仙石線ホームは行き止まり式だが、乗る列車はそのホームと地続きの3番線に停まっていた。キハ111−キハ112の2両編成でワンマン。車内は2列−1列のボックスシートを持つセミクロスシートである。1列のボックスシートは狭いのであまり好きではないので山側だけど2列の方に座る。石巻線も海沿いを走る風光明媚な路線で、景色がいいのは素晴らしい。でも津波は?と思ったが、後で地図を見たらこの辺は内海になっているので、それは無かったのかもしれない。
敢えて石巻線に乗ったのは久しぶりだからというのもあるが、終点の女川駅津波でマッサラになってしまったというのでどう復旧したのか見たかったというのもある。終点一つ手前の浦宿を出るとトンネルに入って、出るとすぐに女川。…うーん、駅周辺に限った印象を言うと、荒涼。駅は元の位置から少し内陸側に復旧し(つまり線路は短くなった)、立派な駅舎も建った。駅前はきれいに整備され、駅前広場の向こうにはテレビでも見た市場の店が並んでいる。…が、2月の平日、乗客も通行人もほとんどいない、しかも曇天、という悪条件が重なってなんとも寒々しく見えてしまった。まだ復旧して間もないから寒々しいのは仕方がないか。これから賑わいが回復することを祈るのみ。
仙台ではSuicaで入場し、女川で精算しようとしたが当然のようにSuicaの範囲外。駅にはハンディタイプのSuicaリーダーだけあって、それで仙台から入場したことだけはわかるらしい。運賃は全額現金で精算。Suicaに入場記録がついたままなので、清算証明書を貰った。これをもって他の駅でSuicaの入場フラグを消してもらうのである。
折り返しの石巻行きに乗って、石巻でさらに小牛田行きに乗り換え。こちらはキハ110(両運車)の2両編成で、これも2列−1列のクロスシートになっているが、1列シートの方だけボックスシートではなく、しかもシートの向きがバラバラ。ナニコレ、集団見合い型なのか相反型なのかどっちなん?と思いつつ4人掛けボックスシートの方に陣取り、しばらくスマホをいじっていたら近くでガシャンという音がしたので見てみると、なんと!
1列シートの向きが変わっていた。1人掛け回転型シートだったなんて想像もしてなかった。この前、京都鉄道博物館で昭和30年代の「パーラーカー」の1人掛け回転シートの実物を見てきたが、まさか石巻でそれを見るとは。世の中はまだまだ驚きに満ち溢れているな(^_^;)
石巻線で小牛田に出たわけだが、沿線は内陸部なので仮設住宅もいくつか見た。早く解決すべきではないかと改めて思う。それはさておき、いよいよ天気が悪くなって雨が降ってきた。雨か…午前中じゃなくて良かった、今は列車に乗るだけだからそんなに困りはしない。
途中駅の前谷地からは気仙沼線が分岐している。以前は気仙沼まで行っていたが、北半分は津波で流されてBRTで運行しており、もう復旧はされないので事実上廃線である。南半分だけ残っても仕方がないので全線廃止もあるだろう。だから今日ついでに乗っておきたかったのだが…今乗ってる列車が気仙沼線の列車に3分差で間に合わない。なんというダイヤだ。一日4本しかないローカル線なら3分くらい駅で待ってろ!
気仙沼線BRTは既に前谷地から運行されており、駅前にBRTのバス乗り場も整備されていて、さらにバスも停まっていた。おや?列車に続行してバスが出るのか?と思ってよく見たら「回送」と書いてあった。
小牛田に来るのも実に久しぶりのことだ。ここは鉄道の街、大きな気動車区があってたくさんのディーゼルカーが停まっている。目の前にオープンカー「風っこ」が「みのり」の中間車と一緒に停まっている。この組み合わせで何かの臨時列車で走ってる写真を見たが、それ以来このままということか。しかし写真に撮ってる暇はない。すぐに仙台行きに乗り換えである。仙台行きは電車のE721系である。やっぱり電車の方が加速が良くて速いな。ハイブリッドは重たいから軽快な電車にはそこが及ばないということか。
一通り乗ったのであとは「はやぶさ」に乗ってとっとと帰った。帰りも満席、私はC席しか取れなかった。東北新幹線は本当に繁盛しているな、といいたいところだが私が乗った「はやぶさ」の直前に発車した「やまびこ」はスカスカだった。たぶん「はやぶさ」に乗客が集中しているのだろう。