津波の被害を見る

列車が仙石線に入るとやっと快速らしくなり、途中の駅を飛ばしながら進行。仙石線沿線は大地震津波によって壊滅的打撃を被ったが、今はパッと見には何事も無かったかのようである。しかしよく見るとやはり、沿線の住宅の新築率が半端ない。二階建ての1階と2階で壁材が全く異なる家は、津波で下半分だけやられたんだろうか。
海岸沿いを走っていた仙石線がいきなり高架橋に上がった。とてもすんなり上がったので一瞬気が付かなかったが、これが今日の第二の目標である。津波被害があまりにも甚大だった陸前大塚と陸前小野の間は復旧に際し山側に新線を建設して付け替えた。ここを新線とみなして乗り潰し対象にしていたので、この列車を終点の石巻まで乗りとおしているわけである。
新線に入ると、それまでガタンゴトンと言っていた走行音がシャーというロングレールの走行音に変わる。高架で台地の上に上がったが、台地上の区間は半掘割になってて景色はあまり面白くない。新しい東名(とうな)駅の周囲は新興住宅地そのもの。その次の新しい野蒜(のびる)駅も同様である。被災された方々の集団移転地であることは言うまでもないだろう。
そして台地を降りて川を渡り陸前小野に停車した。線路付け替え区間は全くスムーズで線路を曲げた感は全くなく、沿線にも前の線路跡は全く残っていない。それがかえって津波の凄みを感じた。線路を含めて何もかも流してしまったんだなと…。とりあえず、新線区間は完乗した。
通過した鹿妻駅の駅前になぜか戦闘機が飾ってある。おお、そういやこの辺に自衛隊の基地があったな。やがて管制塔とか変なドーム状の建築物が見えてきた。管制塔は空自松島基地のもの、変なドームは多分レーダーかな?その向こうに見える網が張り巡らしてある構造物は、ゴルフ練習場かな…(^_^;)
さきほど「パッと見には何事もない」と述べたが、やはりところどころに仮設住宅がある。ほとんど人のいなさそうなのもあるが、ぎっしり人が住んでそうなのもある。あれからだいぶ経ったし、東名や野蒜みたいな集団移転地もあるというのにまだ仮設住宅が解決していないのか。まとまった土地に平屋建ての住宅をずらーっと並べた建設中の住宅地も見た。建物はいっぱい建ててるようなので、近々解消するものだと思いたいが。
終点の石巻駅の駅前に石巻市役所があったが、どうみてもデパートの建物である。デパートの空き物件に市役所が入るのは山口県周南市役所で見たが、これもその類か。と思ったけれど…市役所が被災して引っ越したのかな。とまれ人の集まるところに市役所があるのは便利だとは思う。