えりもの春は何もない春です

様似からさらに南下してえりも岬を目指す。覚悟はしていたがえりも岬は遠いな(^_^;) 日高と言えば競走馬の牧場だが、これまで門別から浦河までずっとそれを見てきたが様似以南にも競走馬の牧場があった。えりも町の市街地を通り抜けてさらにさらに南下、国道との分岐点も右に折れてさらに南下、ついにえりも岬に到着。
ここに来たのは3回目だと認識しているのだが、記憶が曖昧になってていつ誰と来たか思い出せない(^_^;) 多分、最初に来た時は突端まで行かなかった気がする。2度目には突端まで歩いて行ってスゲーってなった気がする。でも、もしかしたらここに来たのは2回目で、初回も突端まで歩いて行ってスゲーって言ってた気もする。要するにもう覚えてないと(^_^;)
というわけで、えりも岬には灯台のある展望台と、その先の突端まで歩いて行ける遊歩道がある。どちらから見ても全周囲が海の素晴らしい景色を堪能できるが、急な下り坂を降りて行っての突端からの景色がより最果て感が高くて良い。その分、戻りの急な上り坂が地獄なわけだが。
正直なところ、日高には大した観光資源もなくえりも岬だけが見どころだったので、もし嫁がここを気に入らなかったら大失敗の巻、気に入ってもらえるか心配だったが杞憂だった。大変気に入ってもらえた。
ここで私に運転を代わって、一路十勝方面に北上を開始する。すぐに雨が降り出した。さっきまでいい天気だったのにな…。もうちょっと遅かったら岬で雨に降られる悲劇に見舞われるところだった。危なかった。
からしばらく北上すると庶野(しょや)という集落に着く。私が初めてここに来た1985年、様似から乗った国鉄バスがこの庶野が終点で、私はここでえりも岬から来た広尾行きバスに乗り換えようとしたら満員で痛恨の立ちんぼだったという悲しい思い出の地である。
その時のことを思い出しながら庶野のバス待合所を探してみたのだが、見つからなかった。もう30年も前のことなので、待合所は無くなってしまったのかもしれない。
ここ庶野から十勝の広尾にかけての国道336号線は「黄金道路」と言われるそうだが、理由は地形が険しすぎて道路建設にかなりの資金を使ってしまったため、まるで黄金が敷きつめたような道路ということでそう言われるらしい。
もちろんこの道路は以前走ったわけだが、絶壁と海の間のわずかな隙間を道路がぬって走るといった感じで、絶壁を削って覆道を作ったり海に突き出した岩にトンネルを掘ったりと、とにかく険しい。また海面と高さがツライチで、海が荒れると即通行止めという危険地帯である。
とにかく延々と続く覆道というイメージが強く、カーブも急なので運転にはとても気を遣うところだと覚悟してこの国道に入っていったわけだが…
走り出してすぐ目に入ったのは、道路が山に向かって突っ込んでトンネルに入るところ。旧道は右にそれて海岸べりをそっているが、そっちはバリケードの向こうの廃道だ。そして入ったトンネルがまた、長い。後で調べると、えりも黄金トンネルというとびきり長いトンネルは全長4941mもある。高速道路でもこんなに長いのはよっぽど山奥のトンネルしかないぞ。トンネルを抜けるとすぐにまた長いトンネル。トンネル⇒覆道⇒トンネルというコンビネーションもあった。
とにかくひたすらトンネルに次ぐトンネル、かつての黄金道路の過酷な道路は姿を消したわけだが、こんな無人地帯に高速道路並みの道路を作って、いったいどれだけのお金を使ったのか。昔とはまた違った意味での「黄金道路」になったな。
せっかくなので、広尾に着いたら国鉄広尾駅跡地に行っておこう。以前来た時も寄ったのでもういいかなとは思ったが、消息確認のために寄ってみた。相変わらず、駅舎はバス待合所になっていて、交通センターみたいな形になっていた。周囲は閑散としてはいるが…
国鉄広尾線の跡は、実は探しにくい。線路は十勝の広大な農地の間を通っていたので、廃線後は当然のように農地になってしまい、全く跡形も残っていない。が、たまに水路を越えるコンクリの構造物が農地の真ん中にポツンと残っていたりする。今回はそれすら見つけられなかったが、もう取り壊されたのかもしれない。
一方、駅跡はきっちり残っているものが多い。もっとも有名なのはもちろん幸福駅跡で、今回もまた寄ってみたが、その前に十勝南部にできた高速道路、帯広広尾道に上がってみた。…ん?「帯広広尾道」なんて書いたら、帯広なのか広尾なのか尾道なのかさっぱりわからんな(^_^;) 旧広尾線沿いに作られた高速道路である。
忠類大樹インターから上がると、そこそこ車が走っている。ここも無料通行区間なので地図には国道と同じ表記である。淡々と走って幸福インターで降りると幸福駅跡はすぐである。帯広空港もすぐ近くなので、今や幸福は交通の要衝である。
幸福駅の交通公園は相変わらずだった。カップルが鳴らして喜ぶ鐘も相変わらずだが、嫁が鳴らすと想像以上の大音量でビビった。鐘というよりはゴングみたいにカンカン鳴らして、わらわかすなよ。
もう夕暮れ時だったがついでに大正駅跡と愛国駅跡にも行った。幸福は何度も行ったのに、大正も愛国も初めて。どちらも街の中心部にあったが、大正は広場になっていて駅跡というより駅モニュメントという感じ?愛国は駅舎もホームもきっちり残っていて史料価値が高い。ホームには9600形SLも据え付けてあって、しかもこの96が動きそうなくらいピカピカ。素晴らしい。
今夜の宿はもちろん帯広市内。奮発して北海道ホテルという格式ありそうなホテルにしたが、なるほどおもてなし感が高くて素晴らしいホテルだ。今までそっけないビジネスホテルばかり泊まっていたので、たまにリゾートホテルに泊まるのも良い。そのホテルボーイに教えてもらった帯広駅前の店で刺身やカキやらの海産物をしこたま食って大枚はたいたが、とてもうまかったので良しとする。