突然、北海道に旅立つ

今日はいつもより早起きして脱兎のごとくに羽田空港に行き、飛行機に乗って千歳空港に降り立った。そこで30分ほど時間があるはずだったので新千歳空港駅でキップを買うはずだったが、飛行機が10分遅れて時間が足りなくなり、駅のみどりの窓口は行列が長くて切符が買えず、とりあえず乗車券だけ買って列車に乗った。
ホームに降りると、目の前に停まっていた快速エアポートの車両が…新型の733系だった。がーん(;_;) 新車だけど、座席がロールロングシートなんだな。ここは古くても721系で良かったのに。慌てて指定席車ミューシートの券売機を探すが、そんな便利なものはホーム上にはなかった。
札幌にて特急「スーパーカムイ」に乗り換える。ここも8分しか時間がないので切符を買う暇もなく自由席車に乗車。車両は789系1000番台という、スーパーカムイ用の新車であった。自由席ということで混んでたらどうしようと思ったが、窓側が埋まる程度の客数で問題なかった。
検札が来た時にようやく、目的地までの乗車券と今乗ってる特急券を購入。あとは北海道の雄大な景色を堪能するのみ。今日は天気が良くて良かった。素晴らしいな。
深川にて特急から下車。向かいのホームに留萌本線の列車がいる、と思ったけどまだ来てなかった。ホームにはすでに10人程度の鉄がいる。こいつらと座席の争奪戦か…
しばらく待って入線してきたのはキハ54が1両のみ。なぜか鉄の大半は片方の入り口に集中しており、もう片方が無人だったのでそこから車内に乗り込むと、なんとか進行方向右側の窓側を確保。ところでこのキハ54は車内がセミクロスシートでクロス部は転換シート、昔は急行にも使っていた車両である。
この車両の問題点は、クロスシート部の窓割が全然合ってないということである。すなわち、座席に対して窓が半分しかなかったり全然なかったりするわけで、きちんと窓割があっている座席を確保しないと全く意味がない。今日は残念ながらベストポジションを確保することができなかったが、窓が3分の2くらいある席は確保。ま、進行右側が取れたからよし。
この進行右側というのに意味があり、留萌から終点の増毛までの区間は進行右側が海、左側は崖。景色の良さが天と地ほど違う。はるばる北海道まで乗りに来て山側に座ることなどありえないので、これは譲れなかった。
そしてキハ54の最も素晴らしい点は、非冷房車であること。冷房ないということは窓を開けろということで、最近体験できなくなった、窓全開にして風を浴びながら列車の旅が楽しめるということである!これは素晴らしい。非冷房車の特権である。ああ、このような旅が我が人生で今後何度楽しめるだろうか、と思いながら乗っていた。
それにしても留萌本線沿線の寂れっぷりがヒドイ。沼田まではまだいいが、山間部に入ると人家がまばらすぎる。NHKの朝ドラ撮影地となった恵比島も周囲は無人地帯のようになって、駅と駅前もドラマのセットがそのまま残っているが廃屋一歩手前である。これは厳しい。乗客も大半が鉄なので、日頃どれだけ客が少ないか心配である。
沿線最大の駅・留萌駅は、かつての石炭積み出しのための貨物線や羽幌線ホームの跡地などが全部公園のようになっていて、お年寄りがパターゴルフをやっているのが見える。かつての巨大駅の印象は全くなくなったが、跡地が有効に利用されているようでまあまあよかった。
留萌から増毛はいよいよ海沿いとなり、目の前に日本海が広がり非常に素晴らしい。この区間は今年12月に廃止されることが決定しており、それで鉄がいっぱい来ていて私もその仲間なわけだが、皮肉にもこちらの沿線のほうが留萌までの山間部よりよっぽど人家が多い。ただこの区間には国道が並走しており、路線バスの方がよっぽど便利なんだそうな。それで乗車密度が大変悲惨なことになっており、廃止やむなしの結論に至った。
風を浴びながら素晴らしい景色を堪能し、至福のひと時を過ごしていたが、終点の二つ前の朱文別(しゅもんべつ)という駅で鉄カップルが乗車してきた。明らかに地元民でないのに、なぜこんな駅から乗ってくるのか?ちなみに朱文別は元仮乗降場でホーム長は0.5両分しかない。つまり車両の半分はホームにかかっていない。
そんな駅から乗ってきた鉄カップルは次の箸別(はしべつ)駅で降りて行った。もしかして横見浩彦氏の真似して全駅乗降をやっているのだろうか。