平成の「或る列車」

新型特急285系 未使用で廃車へ 開発に25億円 JR北海道」…たまたま「サンライズ」の後に取り上げることになったが、「サンライズ」の車両は285系寝台電車JR西日本JR東海である。で、この記事で取り上げられているのは285系ディーゼル特急車(JR北海道である。紛らわしい。
というわけでJR北海道渾身の力作、285系ディーゼル特急車は納車されたものの使い道が全く見つからず廃車になる見込みとか。これではまるで「或る列車」である。ちなみにJR九州の観光列車「或る列車」のことではない。
JR北海道285系はモーターと電池を搭載したディーゼルハイブリッド車であり、さらに振り子式装置と車体傾斜装置をダブルで装備するという独自すぎる仕様となっており、それが他の用途への流用を拒んでいるそうだ。仮にそれらの装置を全部外すとしてもかなり費用が掛かるようで、JR北海道自身が転用を諦めてしまった。
しかし、せっかく作った新車を試運転もしないで廃車とは、あまりにも勿体ない。というわけで、今鉄ヲタ業界の間では285系の再利用案を考える妄想が全国的に爆裂中。3両1編成しかないので、このまま転用するとしても通常の運用にはつけられず、観光列車にしか活路を見いだせない。しかし今は観光列車ブームである。引き取り手は数多くあってしかるべし?
また、高速ディーゼル列車を現在運転している各社はいずれも老朽化の問題を抱えており、次期高速車としての可能性も0.001%くらいはあるかも…。鉄ヲタの間でその最有力と目されているのは智頭急行で、HOT7000形の時期型が必要なはずだがどうするの?というところから妄想が広がる。ほかにもJR四国2000系なども同様なのだが、実は285系には様々な特許技術が用いられており、その特許関係もどうしたらいいのかという問題がある。タダで使わせてくれればいいけど…
そういうわけで285系は、車両が鉄屑になるまでは、いや鉄屑になってからも延々と鉄ヲタどもの妄想を広げ続ける存在になりそうである。