近鉄志摩線硬券ゲットで驚きの展開

伊勢神宮の内宮から伊勢道路という名の山道をトロトロと走り伊勢から志摩へ。まず最初に向かったのは近鉄志摩磯部という駅である。私は大学生の頃近鉄硬券入場券をコンプリートしようと頑張ったが、いまだ志半ばである。三重県内ではたしかこの志摩磯部駅だけが未ゲットであり、この機会に立ち寄って買わなければならない。
しかし志摩磯部駅に近づくと驚くべき光景が広がった。駅前に高くて立派だがすごく煤けたホテルがあり、駅舎と思しき西洋風の建物にも全く生気が無い。私が通りがかった時は普通の田舎の駅だったはずだが…。駅は橋上駅でホーム上に先述の西洋風の立派な駅舎が載っている。礎石に1994と書いてあり、私が社会人になった後の建設とわかった。だから知らないはずだ。
幅の広い階段にはエスカレータは無く重い体をやっとこさと二階に上げるとさらに悲壮感漂う景色を見た。広いコンコースはとても暗くて人影は無く、店はすべて閉店。駅の出札窓口が通路に灯りを漏らしていた。これ、まだ日没前の風景。その出札窓口で硬券入場券を頼み、四半世紀ぶりに志摩磯部駅硬券入場券をゲットした。
この駅は一体なんなのか。それはここが近鉄の作ったリゾート「志摩スペイン村」の最寄駅だからである。駅前の煤けたホテルもスペイン村のオフィシャルホテルである。駅とホテルだけではなく駅前の寂れっぷりもヒドイ。スペイン村に行くために列車でここに降りたらきっと気分を害すと思うぞ。
この調子だとスペイン村はどんだけ寂れているのだろうか。と心配になって見に行ってみた。カーナビ頼りに道を走ると海の向こうに観覧車とか立派な施設が見える。道路に車も少なく心配は増すばかりだったが、近づいてみると一番近くの駐車場は満車とある。駐車場や園の入口が見えるようなところは少なかったが、人はたくさん来ているように感じた。やれやれ一安心。
志摩市の中心部に近い鵜方駅にも行って念のために硬券入場券を買っておいた。こっちも小さな駅ビルになっていて、さすがに活気があった。駅前からスペイン村行きのバスも出てるようで、列車でスペイン村に行くにはこっちが正解なのかと。調子に乗って終点の賢島駅でも硬券を買ったが、こっちは観光時間帯を過ぎたせいかまたまた閑散。
お宿のペンションは海辺にあって、ほぼ完全に海水浴客向け。女主人の話では何かの撮影会が中止になって他の予約がキャンセルになり、今晩は我らしか客がいないと。建物がえらい安普請で室内の一挙手一投すべての音が筒抜けになるので、他に誰もいないというのは有難かった。