いよいよカシオペア乗車

夕張からは山を越えて栗山に抜ける道道を行く。これはかつて存在した夕張鉄道と同じルートであり、廃線跡もチラッと見えるのだが痕跡はかなり少ない。とりあえず道路脇に駅舎と思われる瀟洒な廃屋が相変わらず建っているのと、道路がかつて線路を乗り越していた付近の廃線跡は確認したが、その廃線跡は以前は砂利道だったのに今は舗装されていて車で走れそうな状態になっていた。
栗山から由仁、長沼と通り過ぎて、国道274号に入って上野幌を過ぎたあたりから市街地らしくなる。札幌市内をのんびり安全運転したが、それでも予定よりずいぶんと早く札幌駅に着いてしまった。もうちょっと遊んでこれたナァと思ったが、遊び過ぎて間に合わないよりははるかにいいので車を返却して駅でお土産を選んだりして時間を過ごした。
そして札幌駅4番線で待つことしばし。周囲はスーパー北斗283系スーパーカムイの789系など高速列車が次々入線している。それを見つつ待っていると、いよいよ入線してきました!先頭の重連DD51、銀色ボディの客車、我らがカシオペアの入線である。ああ、ついにこの時が来た。前回の北海道旅行ではカシオペア乗車前日に東北地方で起こった地震のため列車が運休して乗れなかった。そのリベンジがついに果たされる。
荷物を持ってさっそく乗車して自分の部屋に急ぐ。入ってまず感じたのは「狭い!」広くないだろうと思ってはいたが、想像以上の狭さ。A寝台2人個室ってこんなに狭かったっけ?ちょっと愕然としつつ、急いで食堂車に行き2人分のシャワーの予約を入れる。こちらは、早めの行動が功を奏して一番乗りであった。
定刻にカシオペアは札幌駅を出発。これから素晴らしい景色が堪能できる、はずだが、二階建て車両の階下室なのですごく低い位置から景色を見る感じ。ホーム入線時などは下から見上げる感じになる。今日は全室満室と放送されたが、出発時点では数室の空きがある模様。なので階上室を覗いてみたが、こちらも狭い。車端部のエキストラベッドのある部屋はさすがに広い。ここは車椅子対応ということもあるだろう。その分お値段も高いようだけど。スイートの部屋は覗くことはできなかった。
最後尾のラウンジカーにも足を延ばした。狭い通路を何両分も通って行くのは結構骨が折れるが、ようやくたどり着いたラウンジは…なんというか、あまり長居したい気持ちがわかない感じ。ラウンジ車は富士・はやぶさ(廃止)やトワイライトエクスプレスなどでも乗ったが、どれもイマイチな感じ。一番後ろの展望席で中年男女が大声で話をしているのも興ざめ。床下でエンジンがずっと唸りっぱなしなのも良くない。このエンジンは発電用で、全車両の電気を賄う重要なものであることは承知だが…。以前の寝台列車には電源車を連結して電気を供給していたが、エンジンが小型化したこともあってかつての電源車をカシオペアではラウンジカーとして仕立てたのであろう。ここに客室を設けなかったことは見識と言うべきではある。
南千歳、苫小牧と停まるが乗客はほとんどなし。苫小牧出発後に完全に日没、車窓は真っ暗になった。海に面しているので本当に真っ暗。はるか彼方に漁をしているらしい光は見える。登別からは乗客がいるかと思ったが、ここも皆無。東室蘭でもホームに人影はあるが誰も乗ってこない。
東室蘭でホームに人がいた理由は伊達紋別で判る。ここでカシオペアは後続のスーパー北斗を退避するために6分停車。ホームの客はすべて北斗の乗客だったわけだ。長時間停車ということで買い出しでもしようかと思って駅舎の方を覗いてみたが、売店は閉まっている。駅前にもほとんど何もない感じで、買い出しに出ても徒労に終わりそうなので早々に部屋に引き揚げた。それにしても、伊達紋別も洞爺も長万部も、まだ宵の口の時間帯なのに駅前が既に深夜のように静まり返っていて無人なんだが…。
寝台列車でシャワーを浴びるのはいったい何年振りかわからないくらい久しぶりのことだ。仕組みはあさかぜや北斗星などと同じでカード式なので久しぶりでも問題ない。嫁はシャワーが出る時間(6分)を気にしていたが、それはちょっと節約すれば全然問題ないことは言っておいた。果たして、嫁は大幅に時間を余してシャワーを終えた。6分しか湯が出ないと聞くと誰もが心配になるだろうが、実際は6分はかなり長い。
そしていよいよ食堂車。函館出発後の21時半よりパブタイムに入ったので一番乗りで駆け付けた。それまでの時間帯は要予約のディナータイムで、フランス料理7000円などド高いメニューしかないので余裕で回避。パブタイムは予約不要で食事もできるが、メニューはどれもとても高い。そもそも列車食堂なんてほとんど人件費を食ってるようなもの、と思っているから高くても仕方がないと思っている。それよりも雰囲気を楽しむのだ。
カシオペアの食堂車は他の寝台列車、あさかぜ(廃止)や北斗星トワイライトエクスプレスなどとは違い、とても明るい雰囲気。精一杯頑張ってビーフシチューを頼んだが、列車食堂の割には手間がかかってる感じでなかなかおいしい。さすがフランス料理を出してるだけのことはある。後は車窓が良ければ言うことないが、列車はちょうど青函トンネル通過中で車窓は無く、しかも騒音がひどかった。