北海道旅行四日目 夕張をまわる

今朝の帯広はやや曇りといった天気。気温はもちろん低い。北海道から今日で離れなければならないので、早め早めの行動を、と8時ごろには出発。昨日、高速道路を使って高額料金を払ってしまったので、金をケチるために一般国道を走る。十勝清水まで来たところで、青い看板を見て思いついた。今日は日勝峠を越えてみたいと。
日勝峠は十勝から日高に抜ける国道274号線で、自分自身は1985年に国鉄日高線の終点日高町駅(今は廃線)から国鉄バス日勝高原線に乗って帯広まで乗りとおした時に通った。その時は快晴で、バスは非冷房だったので窓を全開して涼しい風を浴びながら絶景を堪能した。それ以来通ったことはないので、今日あたり絶好のチャンスなのでは。
と思ったのだが、あいにく今日は雲が低く垂れこめ、日勝峠は濃霧注意という表示が警告板に出ていたので、嫁の反対もあり通行は断念。時間節約のために十勝清水インターから道東道に上がる。昨日通った道路だが、今日も車は少なく実に快適。
夕張インターで降りて、午前中はちょこっと夕張観光を行う。夕張は2度訪れたが、炭鉱が閉山して立ち並ぶ炭住(九州のソレと違って5,6階建てのコンクリの団地がズラーっと並んでる感じ)が片っ端から廃墟になってて実に荒んだ街並みだったので今もそうかと思っていたが、国道を走ると意外や廃墟の類は少なく普通の田舎町といった感じ。ただやはり、JR清水沢駅に寄ってみるとかつて石炭積み出しのために構内は広く線路がいっぱいひいてあったが、今は空き地になっており駅も無人化していた。
清水沢から右折して大夕張方面に向かう。この区間は三菱大夕張鉄道がかつて存在し、私が1985年に北海道に来たときはまだ清水沢−南大夕張間が健在だったにも関わらず、国鉄線の完乗を優先して乗らなかった。その後1987年に廃止された。今思えば残念の極みだが、当時はどうしても都合がつかず乗ることができなかったのである。
だからせめて廃線を堪能したいのだが…線路跡も、途中駅の遠幌の駅跡もほとんどわからない。後で調べると道路工事やこの先で行われているダム工事のため大半がなくなってしまったらしい。少し建物が増えてきたかなと思ったところで南大夕張駅跡に到着。ここは駅跡がしっかり残っており廃止当時の車両もバッチリ保存されているが、ここはあとで訪れることにして先を急ぐ。
一番見たかったものはこの先にあるシューパロ湖(大夕張ダムのダム湖)にかかる三弦橋。大雑把に言うと三角形の鉄橋で日本唯一の形をしており、湖に映えて非常に美しいのだが、この橋は大夕張ダムを水没させる大きさで新しく作られる夕張シューパロダムが完成すると水没する運命にある。つまり今を逃すと二度と見られないので、是非嫁に見せてあげようと思って来たわけだが…
時すでに遅く、橋に近づく国道はダム水没部分を付け替えた新道に切り替わっており、道なりに走ってたらいきなり2000m級の長大トンネルに突入。そのまま大夕張方面に行ってしまい、Uターン場所をようやく見つけて車を止めるとそこからの景色はこれはこれで絶景。ダムが完成したらそれは巨大な湖になることだろう。目当ての三弦橋ははるか彼方のダム湖上に細く見えており、それを嫁に見せた。もちろん三角形はあんまりよくわからないが。
折り返して南大夕張に戻ってきて、南大夕張駅跡に隣接するダム工事のインフォメーションセンターを訪ねる。そこで三弦橋の見学方法を親切に教えてもらった。曰く、ダム工事事務所に電話連絡し、見学許可をもらう。次に、工事用道路の入口に行く。工事用道路は付け替えられた国道の旧道であり、そこを通って三弦橋まで近づける。
その道路の入口が、さっき折り返したUターン場所からさらに先に行ったところにあり、そこまで行って旧道を折り返してくる形になる。手続きが煩雑でなんだか時間がかかりそうなことと、インフォメーションセンターで三弦橋の写真がいっぱい見れたので嫁には十分説明できたことから見学は断念。私自身は大学生の時にここを訪れて三弦橋も大夕張鉄道廃線跡(これも水没)も見たので、まあいいかなと。インフォメーションセンターでは記帳すると記念に夕張炭のかけらをもらった。
そして隣接する南大夕張駅跡を再訪。たたずまいは大学生の時に訪れた時と全く変わっていないが、新顔が増えている。昔炭鉱で使っていた古いバスが増えていた。駅や車両の様子は一見して放置といった感じだが、ちゃんと保存会があって維持整備を行っており、一部の車両は車内に入ることができるのは素晴らしい。
南大夕張から戻って夕張市街を目指す。国道に併走するJR石勝線は元は夕張線と言ったが石勝線が開通したときに編入された。見た目は今にも廃線になりそうなローカル線だが、なんとか踏ん張ってほしいところ。その終点の夕張駅は炭鉱廃止以降2度移転しており、移転の度に線路は少しずつ短くなった。現在はマウントレースイというスキー場が開業後にその真ん前に移転したと聞いている。
そのマウントレースイスキー場のホテルは道路わきにそびえ立つように建っていた。ちょっとバブルっぽい印象だが十分豪華である。その建物の前にちょこっと店があったので昼食をとろうと近づいたら、店の建物の後ろ半分がJR夕張駅の駅舎だったことに驚いた。こんなに目立たない駅ってどうなの…
昼食は駅前の屋台村で夕張黒ラーメンを食した。黒ラーメンと言うと富山のブラックラーメンみたいに黒い汁なのだろうと想像したら、黒いのは汁だけではなくて麺も真っ黒!これはインパクトある。味も悪くないし、ご当地B級グルメとして通用するかも。
本当はそこから先に行って古い市街地や炭鉱跡(石炭の歴史村)にも行きたかったが、時間が無いと思ったことと行ってもあまり面白くないかもと思ったので引き返して札幌を目指すことにした。