ロッコで行く温泉地

松阪市内のホテルで朝を迎える。昨晩焼肉を食いすぎて若干胃もたれ。昨日は7時半の出発で渋滞に巻かれたので、今日は7時には出発。さすがに日曜朝は閑散としているが。クルマはさらに南下して紀伊半島の東側を淡々と進む。多気から紀伊長島まで、やたら山ばかり。その山あいに高速道路が建設中なのが見える。紀勢道というらしいが、こんな山奥の人の少ない地域にこんな立派な高速道路は要らん!と思ってしまうのだが、住んでる人にとっては便利さが段違いだから欲しいだろうなあやっぱり。かつて利用客も少ないのにガンガン線路を敷いていったように、今は高速道路を作りまくっているわけだ。
それにしても紀伊半島は山深い。まだ海岸部を行ってるだけなのにそう思える。海と山が隣接していて人の住むところがとても少ない。やっと尾鷲市に入ったら随分都会に見えるのは、それまでのルートがいかに僻地だったかということだ(^_^;)。尾鷲からさらに山奥に入っていくと、もう目に入るものは山しかないYO。どこまで行っても山また山。山をいくつも越えていくと、突然和歌山県に突入するが、これは全国でただ一箇所だけの「飛び地の村」、和歌山県北山村であった。ダム沿いに集落がへばりつく、山奥にはよくある感じの村だった。
そこからさらに南西の方に向かうことしばし、今度は三重県紀和町にある湯ノ口温泉に到着である。ここには昔鉱山があったそうで鉱山跡に温泉施設が出来たわけだが、なんとここでは鉱山鉄道の一部線路を再利用してトロッコ列車を運行しているのだー!クルマで温泉地に行くと、こんな山奥なのに「電車のりば」という看板が。なんと凄まじい…。駅には既にトロッコ列車が停車している。機関車は鉱山で使っていたバテロコ(蓄電池機関車)だ。客車は「こんなん人が乗れるのか?」と思えるほどちっちゃいのが4両。乗ってみるとまさにギリギリ、背を丸めないと乗り込めない。鉱山の低いトンネルのために全高が規制されてこんなミニ客車になるしかないのはわかるが。
運賃は片道わずか100円、どうせ乗ったらすぐ終点なのだろうと思って軽く考えていたが、どうしてなかなか距離が長い。運行区間のほとんどはトンネルで、線路は複線が敷いてあるが使っているのは片側のみだ。トロッコの入らないトンネルは堅く封がしてある。列車のスピードはかなり遅いが、騒音振動はかなり高い。ガタガタゴトゴトと大変だ。それがもうサイコーに楽しい(^_^)。終点の湯ノ口温泉駅は谷間の橋の上にあって、線路はその先まで続いているがやはり太い柵で封鎖されている。真っ暗闇から物凄く冷たい風が吹いてきて天然クーラーとなっており過ごしやすいが暗闇がとても不気味。
露天風呂を堪能して駅に戻ってくると機関車が反対側についている。機回し線は始発駅にしかなかったので、いったん始発駅に回送して機関車をつけかえて戻ってきたらしい。連結器がだたの鎖だし、推進運転は危険なのだろう。戻りの列車は下り坂だからか行きよりもスピードが出て、その分騒音振動もますます凄かった。とにかくこれはサイコーです(^_^)。この線路は多分「遊園地の遊戯施設」と同じような扱いになっているのだろうと思うが、鉄道マニアが乗りつぶしの対象とするにふさわしいと認められる。

有田鉄道跡、哀れなれ

湯ノ口温泉からさらに山をいくつも越えて、有名な熊野三山の一つ熊野本宮に到着。熊野古道世界遺産に指定されたとかで観光客が激増していると聞いていたのでここもさぞかし一杯いるのかと思ったら、さほどではなかった。しかし熊野本宮は駐車場があまりにも小さくて驚いた。これほど有名な神社にしてはお粗末な駐車場だ。隣のお土産物屋の駐車場にとめて事なきを得る。もちろんお土産は買って帰った。
このくそ暑い中にわざわざ山奥の神社に行くのだ、きっとアレがあるぞ、と覚悟したが…やはり100段以上の階段を上るのは辛いの一言。さすがに境内は広いが思ったよりは小さかった。この神社のトレードマークであるヤタガラスは日本サッカー協会のマークにも採用されているが、そういう縁でサッカーグッズ(お守り)を売っているのは笑える。
熊野本宮からさらに山越え。まっすぐ西に抜けると紀伊田辺だが、敢えて北に進路とをって山をいくつもいくつも越えて金屋というところに出る。金屋、厳密にはその隣の吉備町にあった有田鉄道の金屋口駅跡に行く。有田鉄道という会社は今もバス会社として健在。しかし本社に併設していた金屋口駅は廃墟であり、周辺の店舗も全て閉店しているのが哀れなれ。廃墟はかなり草生しているが線路ははいでおらず、車庫にはかつて使用していたキハ58がそのまま存置されていた。遠くの方には車掌車や貨車が見えるが、リンク先のページによると博物館入りする予定で保存してある車両らしい。どれも立ち入り禁止区域内にあるものであり、撮影許可は取らなかったので近づける範囲内で撮影敢行。
実はもっと近寄って撮りたかったが、時間がないので仕方が無い。金屋口で本日のタスクは終了、後は帰るのみ。Sは休みを取っているので月曜以降も放浪し放題だが私は明日は出勤するので帰るのだ。しかし17時の時点で和歌山とは…急ぎ阪和道吉備ICから高速道路に上がろうとしたがなんと交通事故で渋滞中!仕方なく次の下津ICまで山の中の県道を迂回したのだが、この県道がこれまで走ってきたどの山奥の道路よりも道幅が狭くてかなり参った。対向車が来たらすれ違えないような箇所がいくつもあって辟易した。急いでる時に限ってこれだ。
下津ICから高速道路に上がって一気に新大阪駅まで走りとおし、そこでSとはお別れ。エーナー休みとってて。私は来週休みを取るので今週は取れないのだ。幸いにも新幹線は空いていたのでさっさとのぞみに乗って関東に帰った。