朝から大失敗

宿泊した民宿は、隣の部屋との仕切りが単なるフスマ。よって隣の部屋の音が丸聞こえ…ということはこっちの音も丸々聞こえるということだ。そういうわけでテレビの音は極限に小さくして聞き、地震のニュースを見終わったら早々に寝た。しかし…隣の部屋のヤツは花粉症らしく、一晩中鼻をすすっていた。うるせーっての!まあ、こっちも寝ている間は「大音声」で対抗したはずだ。自分ではわからないが…
6時に起床!隣のヤツはまだ鼻をすすっている。けっ、こっちの目覚ましの音でたたき起こしてやったぜ。一風呂浴びてさっぱりし(昨晩も入ったが、やはり風呂はええですなあ)、満を持して6時40分頃出発。歩いてすぐの珠洲駅に行き、そこから昨日乗り残した珠洲蛸島間を乗るために、蛸島まで秘密兵器「タクシー」を利用する算段だ。蛸島発は7時ごろ、距離は3.6kmなのでタクシー利用なら余裕で間に合うと踏んだ。
…駅前には一台もタクシーはいなかった。実は私も珠洲のような田舎では駅前にタクシーなんか待ってないんじゃないかと思っていたが、昨晩の時点ではちゃんといたので安心してしまった。良く考えたら祝日の早朝、まだ列車も来ないうちから駅前で客待ちしているタクシーなんているわけない。ちょうど駅ホームからは蛸島への回送列車が出て行く。昨日乗ったのと同じ車両だ。うう、あれに乗せてくれたらナァ…
狼狽することしばし、ちょうど49分に来るバスに乗れば間に合うか?と思ったが、バスが10分で目的地まで行ってくれるかどうか自信が無いので乗車は見送り。ああ、しまった。これはぬかった。もしのと鉄道が未乗線だったらこんなマヌケなミスはしないはずだが、既に一度乗った線路ということで甘くなっていた。…などと反省しつつ駅前をウロウロしていたら、なんと駅前にタクシー会社の車庫があるではないか!!乗せろ!私を蛸島まで運んでクレー!!
…車庫には誰もいないのか、人の気配がしない。きっと宿直の運転手くらいはいるはずだが、まだ寝ているのだろう。ああ、気がつくのが遅すぎた。今から運ちゃん起こしてタクシーの準備させて蛸島まで行くのに、5分くらいでできるわけがない(;_;)。非常に残念だが、蛸島に行くのは諦めよう。

さようなら能登線

7時10分、私の乗る列車が蛸島から戻ってきた。駅ホームには鉄野郎とおぼしき男が(私を含めて)3人。さっき確認した列車はボックスシートが片側に3つしかなく、「海側の進行方向窓側の座席」というベストポジションはこの早朝なのに競争率が高い。線路脇に立つ「列車停止位置票」から歩測して乗車位置を割り出し、そこで待っていたらジャストヒット。私の目の前に乗車口が来た(ワンマンカーなので乗車口は一つしかない)。早朝から激烈な?席取合戦の結果、私のベストポジションを獲得。寒いが天気は非常に良く、素晴らしい海辺の景色が広がっている。最後ののと鉄道の旅を堪能しまくりである。
しかし、悲しいことに財布の中には1万円札しか入ってない。これも早朝の悲しさで、万札では買い物できないのである。駅前に店は一つも無く、駅中のキオスクもしまっており、駅員も窓口に出てこないので両替も出来ない(いたとしても応じてもらえたかどうか…)。記念キップでも買って万札出せばそれが一番いいのだが、記念キップの類は売り切れ。特に硬券入場券の売り切れは痛い。
そういうわけで朝から何も買えずに列車に乗っている。ジュース飲みたい…眠気を抑えるためにもそれは必要だった。素晴らしい景色が展開されているのに、私は眠気と戦うのが大変だった。窓を開けたら眠気は即飛んでいくのだが、外は非常に寒いのでそれは不可能。
珠洲を7時10分に出る列車に乗ったのは、大正解だった。すれ違う列車はどれもお別れ乗車しに来た鉄どもや一般人が満載!心の中で何度もザマーミロと叫ぶ。昨日の宿には、「明日の7時56分発の列車に乗る」といっていた宿泊客が多くいたが、その列車は今すれ違った鉄ども満載の列車の折り返しであるから、大混雑間違いなし。せっかく珠洲くんだりまで来て一泊しておきながら、一時間遅く出たがために満員列車であぼーんである。何事も先んずればすなわち人を制す、である。おかげで心置きなくのと鉄道能登線とお別れできる。さようなら能登線

683系初乗り

8時50分頃、穴水着。すれ違う列車の混雑度はますます上昇、こりゃまたどえらい乗ってるなーと驚く。自分の乗ってる列車も進むにつれて客が増えたが、この穴水で2両増結、3両になる。和倉温泉で特急「サンダーバード」に乗換えようと思ったが、既に自由席の待ち行列が結構長い上に、待ってる客がいかにも関西の旅行客!といった雰囲気満々なので、うるさそうだから回避(^_^;)。七尾で4分接続で普通列車金沢行きに乗換え。
10年以上前に初めて乗った時の七尾線はまだ非電化だったが、今は電車が走っている。しかしその電車は中古の転用であり、正直ボロイ。金沢に着いたら次は「しらさぎ58号」に乗換え。これは新車683系で乗り心地は最高(^_^)。もともと取っていた指定席は通路側だったが、自由席の窓側をゲットできたので窓側に座っていた。しかし窓側にいると日差しが暑く、汗ダラダラ。結局、もとの指定席に戻ってしまった。ちなみに先の穴水で硬券入場券を買ったときに小銭が出来て、そこでやっと飲料をゲット。そして金沢でやっとメシにありついた。11時を過ぎていたが、私の朝食である。(ちなみにきつねそば)
残念ながら「しらさぎ58号」は米原止まりであり、そこから先は乗換えないといけない。東海道本線大垣〓米原間は今や我々鉄道趣味人の鬼門、ここが地獄の一丁目である。「青春18きっぷ」誕生以来、東海道本線普通列車で移動する客は数多くいるのに、大垣〓米原間の列車本数は減る一方で今は30分に一本、しかもたったの2両編成だったりする。つまり、ここはものすごく混むのである。この一件だけでもJR東海を非難するのに十分だと思う。
それはさておき、私は先ほどと同じように「停止位置票」から乗車位置を割り出す。こちらの車両はのと鉄道とは違ってホームに乗車位置が書いてあるので、あとは「3扉の2両編成が入線してくるので、先頭車の停止位置はココ、従って乗車口はココ」と簡単に割り出せる。始発なので場所さえ間違わなければ確実に座れるはずだ。ホーム上にはさきほど到着した新快速からたくさんの乗り継ぎ客が来て一杯になったが、たいていの人はそういう事情は把握済みであり、みな同じように扉が来るはずの位置に整列している。ただ大声て鉄道の話をしている鉄ちゃんとおぼしき男が、全然違うところで待っているのは滑稽だ。あんた、こんなことも知らんのかい。

岐阜県でも乗りっぱなし

米原〓大垣間の鬼門もベストポジションに着席してなんなくクリアー、大垣で下車。本日のもう一つのイベントは、名鉄岐阜市内線・美濃町線揖斐線のお別れ乗車である。いずれも路面電車タイプの電車が走る区間で、これも今月末に廃止である。大垣から、とりあえず揖斐線の終点・黒野に行きたいのだが、大垣から直通バスがあるようだ。さっそく乗り場に行ってみると…なんと15時半発しかない。今14時半だからたっぷり1時間待ち。仕方ない…諦めて、大垣15時8分発の樽見鉄道に乗り、北方真桑駅で下車して揖斐線の駅まで歩くか。
これでも40分待ちであり、大垣駅ホームでボーっと待っていると「しらさぎ8号」が到着。いうまでも無く金沢から来た特急である(始発は富山)。…金沢で一本遅らせてこれに乗っていれば良かったのでは?1時間待ちでも金沢なら過ごしようがあるし…まあいいや。
久しぶりに乗った樽見鉄道は、車両が昔のままでかなりボロボロになっていた。依然として経営は厳しいようだ。北方真桑駅も駅員はおらず、昔は有人駅だったのにな…と思って張り紙を見たらつい最近になって休日だけ無人化したらしい。ここからしばらく歩いて名鉄の美濃北方駅に行く。道順なんて知らないが、名鉄の線路は見えているし、長年の経験から駅の位置は勘でわかる。
美濃北方駅はいかにも田舎の駅の雰囲気満々だが、ここにも鉄どもがウロウロしている。電車は15分おきにやってくるので、死ぬほど混んでるということはない。乗ってるのは大半がお別れ乗車組のようだが。それにしても…休日の日中に15分ヘッドで頻繁運転するような路線が、なぜいきなり廃止なのだろうか?まだ改善の余地は山ほどあるように見える。この路線の廃止が発表されてからヨーロッパの鉄道会社が買い取りの名乗りをあげたニュースがあったが、いっそのことその会社に売ってしまえばよかったのだ。そうならなかった理由は、あとでおぼろげながらわかった気がしたが。

さよなら美濃町線

北方から黒野まで乗車。かつて黒野から先は行き先が二つもある乗換駅であったが、両方とも廃止になり、今回は駅自体も廃止となる。当然ながらここにも鉄どもがウロウロ。友人Nの通報により、ここに廃止記念の「全駅硬券入場券セット」があることを知っていたので、ためらうことなくそれを所望。無事にゲット(^_^)。その後、「黒野から徹明町経由で関まで」の乗車券を求めたら、なんとそれも硬券で出てきた。これは聞いてなかったのでビックリして、他にも硬券はあるのか?と駅員に聞くと、硬券は入場券のほかはこれしかないとのこと。つまり乗車券はこれが唯一の硬券である。いいものを手に入れた。これは絶対に手放せないな(^_^)。運賃を二度払いして、切符は手元に残すか。
揖斐線沿線はのどかな田舎ではあるが人はたくさん住んでいる。本当に廃止になる線路か、これが?謎は深まる。まあ、だいたい廃止理由の想像はつく。揖斐線と直通している名鉄岐阜市内線は、典型的な路面電車。しかもこの路線の駅は、道路にただ書いただけ。いまどきの路面電車は「安全地帯」があって柵で囲われていたり道路と段差があったりして乗客の安全が図られているが、ここは本当に道路に白ペンキで書いてあるだけ。これが危険だと指摘されていて、改善しなければならないのだが、そうする金が多分無いのだろう。だから廃止になると。しかし、勿体無い話だ。
市内中心部の徹明町で乗換え。途中でもう一回乗換えて、岐阜県東部の刃物の町・関まで行く予定だ。もう17時になってだんだん暗くなってきた。やばいかも…。徹明町からの電車がまたボロイ路面電車だった。道路の真ん中を車と一緒にノロノロ走る。しかも単線なので行き違いのための停車がある。やがて日が暮れてきた…途中の野一色で新関ゆきに乗換えるが、もう外はだいぶ暗い。その暗い景色を見ていると、線路と併走している道路がどうやら拡張工事中で、しかも今乗っている線路も含めた工事のようだ。そうか…もう「線路をはいで道路の拡張に使う」ことで名鉄岐阜県(あるいは国か?)で話がついているようだな。そうだとすると、ヨーロッパの会社が線路を買収しようとした時に嫌がった理由がわかる。道路工事の計画がおじゃんになってしまうからだ。
しかし、岐阜県はダメだなあ。今は岐阜市内線のような鉄道が「環境にやさしい」と見直されているというのに、せっかく今ある線路を活用しないでよりによって道路にしてしまうとは。後悔しても知らんぞ。

リベンジならず

新関に着いた時にはもう18時過ぎ。名古屋からの「のぞみ号」は20時半ごろのを予約済みだが、もう時間がない。新関と関の一駅間だけ残して折り返す。もっともこの間は100mも無い。既に全区間乗車済みだからできる判断で、これが初乗りだったら絶対に乗って帰るところだ。
岐阜市内に戻り、JR岐阜駅から新快速で名古屋に。着いたのは19時40分ごろ、新幹線乗車まで40分ある。ここでどんなメシを食うか?飯のうまい名古屋で、一番食べたいのはやはり味噌煮込みうどん。先々週ここで食ったときは注文をしくじって「味噌煮込み素うどん」になってしまったので、是非とも名古屋コーチン入りが食いたかったのだが…時間的にやや厳しいようだ。仕方が無いので晩飯はなぜか讃岐うどんに。これが2食目であり、今日はやけに貧しいメシとはなった。もっとも、私が鉄道に乗るときのメシはたいていこんな感じ。3食駅そばなんてのはしょっちゅうやる。それよりも乗り継ぎの方が大事だし(^_^;)
3連休最後の夜の名古屋駅新幹線ホームは人で一杯だった。ちゃんとのぞみの指定席は押さえてあるが、取れたのはB席。3人掛けの真ん中だ。それでは辛いので、せめて通路側のC席にでも座れないかと自由席の混み具合を見物していたが、自由席はどの列車もスゴイ混みようだ。諦めて指定席のB席に座り、とっとと寝てしまった。二日間列車に乗りっぱなしだったが、すぐに寝られた。若い頃はコーフンしてなかなか寝られなかったものだが(^_^;)