贅沢に特急乗り継ぎで石川県に

朝9時と少し遅いのだが、この時刻に家を出る。外は良い天気だが、これから寒いところに行くので厚着で行く。時間があったはずなのに、直前までバタバタと支度していた。これが後で大きな悲劇を生むのだが…
越後湯沢11時37分発「はくたか8号」に乗るために東京駅から新幹線に乗るわけだが、接続列車「とき313号」の1本前の「Maxたにがわ437号」に何とか間に合う。二階建て新幹線Maxの二階席に上がってしまったが、この車両は一階席が4列シートなのに対し二階席は6列シート、しかもものすごく幅が狭い。それでもって、発車直前でほぼ満員。大慌てで何とか一席確保したが、幅が狭すぎて苦しい。嗚呼、一階席に向かうべきだった。どうせ爆睡するのだし。
「たにがわ」は1時間後の高崎で大量下車があり、そこで一息つく。しかし、こういう苦労はしておくべきものなのだ。越後湯沢に着くと、乗り継ぎ列車の「はくたか8号」ま既に待っていて、しかもガラガラ。いちおう指定席は押えてあるが、通路側のB席しか取れなかった。ので、指定席代500円分を放棄して自由席の窓側の座席をゲット!まだメシを食ってなかったので、ホーム上で駅弁「かにずし」を買って自席で食していたら、窓側の座席は埋まった。そこに「とき313号」からの乗り換え客が大挙押し寄せてきたが、既に思うように席は取れなくなっていたというわけ。先んずればすなわち人を制す、ですよ。
私は列車に乗るのが目的なので、ちゃんと進行方向に向いた窓側の席を取れないと高い金払ってわざわざ乗車している意味がないのだ。だから、このくらいの苦労は苦労と思っていない。当然やるべきことなのだ。そういうわけで、思うように座席をゲットし、車窓を満喫。といっても「はくたか」はしばらくの間トンネルばかりのほくほく線を走行。それを抜けて直江津を過ぎるといよいよ日本海の車窓…も数多くのトンネルに遮られるものの、山側の席に座って山ばかり見ているよりはずっとイイ。「はくたか」は14時15分金沢着、さらに七尾15時9分着まで4時間半ずっと乗っている列車であるから、ここは妥協できない。たっぷり堪能しつくしましたとさ。

地震

七尾でいよいよ最大の目的である「のと鉄道」に乗り換え…るつもりだったが、接続の列車は既に“鉄ども”に占領されていてまともに座れる席が無かった。ので、仕方なく見送った。まあ、予想してはいたけどね。のと鉄道は七尾〓蛸島間を営業しているが、約3分の2くらいの穴水〓蛸島間が今月末に廃止になってしまう。私は既に乗車済みではあるが、乗り潰したのはもう10年以上前のこと。そんなわけでお別れ乗車に来た。今回の目的はまさにこれだった。
そういうわけで、せっかく来たのに混んでる列車の空いている席にかろうじて着席し、後ろ向きで景色も見えず周りは鉄道マニヤだらけという状況は耐えられん。幸い、列車一本見送っても旅の行程には何の影響もないし(そういう計画を練ってきた)、七尾駅で70分待ちとはなるがそれもまたよし。それよりも確実に座りたい席に座って車窓を堪能できることの方が大事。
七尾駅前をヒマそうにブラブラしていたら、山形の友人Sから電話がかかってきた。また競馬の話かと思ったら、驚くべき情報をもたらされた。なんと本日、我が出身地の福岡県で震度6弱の大地震があったという。マジか?福岡で大地震なんて聞いたこと無い。自分の体験上だけでなく、郷土史でも福岡で大地震というものは無いだろうと思う。
慌てて家族に電話を入れてみると、幸いなことに誰も怪我してないし、家の倒壊も無かった。よかったよかった。しかし家族の話では家が倒れるかと思うほど激しく揺れたそうだ。6弱じゃそうなっても仕方が無いよなあ…。やはり地震というのは恐ろしいものだ。

能登線廃止

70分も待った甲斐あって、七尾からの列車は車両中央進行方向海側の理想的な座席を確保。しかし関東を出るときは晴れてたのに、七尾に着いた時には小雨がパラつく不本意な天気。東の空は明るいが、西の空は真っ黒けの雨雲に覆われている。これは降るな…。それと、ここで70分も無駄に費やしたために、この列車に乗ってる途中で日没になってしまい、車窓は真っ暗になる。これもまあ、計算づくということで。
鉄道マニヤどもやお別れ乗車の人たちを乗せてのと鉄道の列車は七尾を発車した。今日は新幹線からはくたかと最新型の特急車を乗り継いできただけに、いきなり廃車寸前の手入れの行き届いてないボロ車に乗り換えると揺れる揺れる。廃車寸前と書いたが、今乗っている車両(NT103)は来月以降廃車になることを既に雑誌で知っていた。良く見るとあちこちサビが浮きまくりで、たしかにこれはボロい。海のそばを走っているので傷みが早いのだろう。
せっかく窓側に座っているが、外はやはり雨になった。その中を淡々と走る。穴水からはいよいよ廃止区間。周りの“鉄ども”が落ち着き無く車内をウロウロしたりソワソワしたり。ウザイが、思い当たる節は私にもありまくりだ(^_^;)。今の私はさすがに既乗ということもあって落ち着いてはいるが。
のと鉄道能登線は入り組んだ海岸線を行くので、トンネルも多いが景色は素晴らしい。こんな光景をもう列車に乗りながら見ることが出来なくなるというのはやはり残念だ。景色が見たければまた能登半島まで来ればいいのだろうが、おそらくこの後当分の間、もしかしたら二度と来ないかもしれない。徐々に乗客を減らしながら列車は走るが、宇出津を過ぎたあたりでとうとう日没。車窓は真っ暗。
終点は蛸島だが、その二つ手前の珠洲で下車。駅から200mのところにある民宿に宿泊である。幸いにも雨は上がり、雨具を忘れた私にはとてもラッキー。それにしても、珠洲は市であり、珠洲駅は市の中心の駅だと思っていたのだが…駅前のなんと暗いことよ。薄暗いとかそういうレベルではない。真っ暗である。久しぶりに、夜が暗いのを実感しながら宿に急いだ。
そんなところなので、周囲には食事のできる店など一つも無い。民宿には素泊まりで予約していたのだが、仕方なく「メシ食わせてください」とお願いする。おかげでうまいものをたらふくいただいた。もちろん宿代は跳ね上がるが、うまいものを食ったからイイ(^_^)