レストラン列車の意味がわかった

冬なので17時にはすでに外は真っ暗。「52席の至福」は17時15分発である。ところでこの列車、日ごろは土休日に運転しているものらしい。今日は懸賞を実施したセブンアンドアイのチャーターということで平日に堂々と運転しているのだろうと推測。我々の席は4人席ということで他のペアと相席になるはずだったが、なぜか相席のペアは来なかったので一つのテーブルを占領である。
車内は元が4000系だったとは思えないほど見事にリフォームされており、レストランというにふさわしい快適な空間である。ウェイターの対応も気持ちよく実に気分いい。たった一つ欠点を挙げると、元が4000系なだけに窓が開く(1段下降窓)ため、列車とすれ違うと窓がガタガタ言うのが興ざめである。固定窓にしてしまえばよりよかったが、そこまでする金は無かったか。
本日提供のお料理は秩父のフレンチ料理店が監修したディナーということで、初っ端の「 柚子が薫る 牡蠣のロワイヤル」がすでに激ウマで後はもうやられっぱなし。何が出てきてもおいしい(*´▽`*) 前菜もうまいしメインの「 埼玉県産和牛のトロトロ赤ワイン煮込み」に至ってはもう肉がホロホロでたまりませんわ!!
列車は西武秩父を出ると芦ヶ久保で長時間停車。単線なので最初は行き違いかと思ったが、対向列車が行っても後から特急が追い抜いて行っても発車する気配なし。何もない山間部の駅でずっと停車する意味とは?…時間稼ぎなのだろうが、食事の時は極力駅に留め置いて揺れを最小にする配慮かな?とも思った。
この後も時折長時間停車を入れるため、飯能に降りてくる時点ですでに1時間以上経っていた。でも、いいの。まったく急いでないから。それよりもメシ!メシがうまい!!
飲み物はノンアルコール飲料は飲み放題だがアルコール類はウェルカムドリンクのシャンパン以外は有料である。そして最近ウイスキーにはまっている私に大注目の酒がある!…といっても秩父と来ればイチローモルトだと丸わかりであるが。この列車には「イチローモルト 52席の至福プライベートボトル」という限定ウイスキーが用意されており、シングル1200円/ダブル2300円で飲める。一杯1200円とは激高な気もするが、しかしこの列車でしか飲めないと来ればもはや値段の問題ではない
これをオーダーすると、ものすごく色の濃いウイスキーがやってきた。瓶の写真を撮りたいと言ったら未開封瓶を持ってきてくれた。その未開封瓶はほかのテーブルにも呼ばれて行って人気者である。みんな知ってるから(^_^;) これを瓶ごと売ってくれたら最高だが、もちろんそれはできない。そして味だが…味濃い!そして口の中が燃えるようだ!!…それもそのはずアルコール度数59.4%!これを、カッコつけてストレートで頼んだのでそのまま口に含んだら口中ヒリヒリなのでチェイサー必須である。
いやーそれにしてもなんとも味わい深い。ウイスキー歴3年のニワカなのでネットにあがってるテイスティングノートみたいなカッコいいこと言えないが、口中ヒリヒリでもちびちび飲みたくなってくる魅力的な酒である。もっとも私のレベルでは、シングルで十分だった。カッコつけてダブルで頼んでいたら列車が終点に着くまでに飲みきれなかったかもしれない(^_^;)
52席の至福」は飯能からは進行方向が変わって反対向きに走りだす。実は今日は西武新宿行きなので所沢でもう一回進行方向が変わる。途中の仏子ではホームのない中線に入ったり、前の列車に詰まってノロノロ走り続けたり。でもいいの、まったく急いでないから。それより酒!酒がうまい!!
まったく、「52席の至福」車内は至福の空間であった。最近全国各地でこのような食堂列車が登場し、どれも盛況だというが、その意味を実感した。これはいいわ、幸せだ。ただしお値段も相当なものなのでそう滅多矢鱈に乗れたものではないが。