天北線の跡をたどる

稚内に来た用事は、実は宗谷本線の普通列車に乗りたかったからである。しかし稚内から出発する普通列車は、今は一日3本しかない!特急も3本なので一日6本しかないという…。その3本のうちの朝5時20分に出る始発列車に乗るため稚内に前日入りしたのだが、羽田からの飛行機がまた2本しかなく遅い便でも14時ごろの到着。丸一日稚内でボーっとするのももったいないので早い便で稚内入りして車を借りて走り回ろうという算段である。
走りだすとどんどん日が差してきて絶好のドライブ日和になってきた!素晴らしい。もっとも風は猛烈に寒いが、かまわず窓を開けっぱなしにしてひた走る。宗谷岬は久しぶりに来た。以前と違って近くに発電用の風車が建っている。写真を撮って、さて次の目的地にと思ったところで酒屋発見。入ってみたがウイスキーはほとんどなかったのでジュースを買った。
このジュース一本だけで他に食い物も買わずにひたすら走る。といっても6時間しか借りていないので回るところは限られる。できれば浜頓別まで行きたいものだが、ちょっと余裕はなさそう。いわんや、とっても行きたい仁宇布のトロッコ王国にはとても行けそうにない。
しかしオホーツク海沿岸の国道をひた走っているとかなり気分が良いので、遠くまで行けなくてもいいや。
しばらく走っていると猿払村に入った。国道沿いの道の駅でちょっと休憩してお土産なんか買ったりする。平日だからか道の駅の駐車場は閑散としているが、2台の観光バスで来てる団体のおかげで人はいる。しかしバスが行ってしまったらますます閑散とした。店はいろいろあり、アイスクリーム屋なんかもあるがすでにくそ寒いので買う気は起きない。
ここまでなんだかんだと時間を使ってしまったので、今後の所要時間を計算するとやはり猿払から先にはいかないで西の豊富に向かったほうがよさそうだ。しかしせめて旧国鉄天北線の猿払駅のあった場所には行ってみたい。と思ってさらに南下してみたが…
うむ、思ったより猿払駅跡は遠い。止めた(^_^;)
と思って、そこより北にある鬼志別という集落に向かうことにする。そこにも鬼志別駅があったので、それでいいやと。で、海岸沿いの国道から折れて一本陸側の道道に入った。
この道道1089号線、入った瞬間から「!」と思わずにいられない。まだ新しい道路で道は基本まっすぐで平坦、カーブもゆるやか。これは…旧天北線の線路跡を転用した道路に間違いない。そう思うと自分が列車になったかのような錯覚が(^_^;) 道の北端には鬼志別のバスターミナルがあったので、まさにビンゴである。ここが鬼志別駅跡で間違いない。
鬼志別には猿払村の役場があった。村の中心部はここ鬼志別なんだ。村の酒屋はとっくにつぶれていた。スーパーがあったので入っていると意外と充実した品揃えで(失礼)、酒も意外とあった。
そこから西への道は普通の道道で、近くを線路跡が走っているはずだが痕跡はあまり見いだせない。小石駅跡には小石交流センターという建物が建っていた。曲淵駅跡はただの更地だったが、近くに「曲淵」という大きな看板を掲げた廃小屋みたいなのがあった。もしかしてあれが駅舎だったのだろうか。
その隣、沼川駅跡との間の道路脇には線路跡らしきものがあり、並走していた模様。沼川市街に入り、駅後に行くとそこにはモニュメントがあった。すなわち駅名票と、なぜか松の木。そして在りし日の沼川駅の写真。敷地そのものは単なる空き地となっていた。それだけ確認してこの場を離脱…しようとしたら、駅前の民家の倉庫の2階になんと!沼川駅で使っていたと思われる警戒標識が何枚も飾ってあるのが外から見える!駅名を書いた板や、稚内行きのサボまである。なんともありがたい展示である。こういうのは現地に来てみないとなかなかわからない。