鉄道貨物は繁盛しているか?

物流崩壊の危機?経済全体に大打撃も 深刻なドライバー不足、救世主に浮上の貨物列車」…以前からトラックドライバーが不足という話は聞くが、昨今はそれがますます深刻化して極めて厳しい状態になっているようで、救世主として鉄道貨物がクローズアップされている。モーダルシフトとか言いながら鉄道貨物復権の話はだいぶ前から語られているが、その割には鉄道貨物はそれほど繁盛していないな。機関車大量増備とかコンテナ車大増産とか貨物列車の本数大幅増とか、聞かないし。
機関車や貨車なら作ればいいが、貨物駅は広い土地が要るからすぐに設置できない。昔はいっぱいあったのに、合理化に次ぐ合理化でかなりの数の貨物駅を廃止し土地は国鉄の借金返済、あるいはJRが他の事業の為に切り離してしまったからな。
と言いつつ、主要駅の高架化工事の際に、旅客駅の裏手にあった貨物駅を郊外に移転させるという工事はいくつかあった。姫路駅高架化の際に移転した姫路貨物駅なんかが一例。
というわけで金と時間があれば鉄道貨物も救世主になれるかもしれないが、今すぐは無理。ひたすらトラック輸送に力を入れて鉄道をないがしろにしてきたツケが回ってきましたな。せいぜい苦労してください。
この記事中に一つ気になる記述があった。「国鉄時代は全国隅々まで線路が行き渡っていたものの、民営化後のJRは次々に赤字路線を廃止したことが、鉄道貨物輸送にとって大きなハンディキャップになっている」というところだ。ご丁寧に二回も言っている。
確かにローカル線を数多く廃止したことで鉄路は幹だけみたいな感じにはなってしまった。しかし、ローカル線を使って貨物輸送をしていた時代はずっと昔のヤード系輸送をやっていた頃の話で、ヤード系はトラックの普及により衰退して、国鉄1984年2月にヤード系輸送を全廃している。だから、今更モーダルシフトの手段として旧国鉄のネットワークが必要かというと全く必要ではなく、特にハンデキャップになっているとは思えない。
ついでに言うと赤字路線を廃止したのは民営化後のJRではなく国鉄の頃からで、1980年に成立した国鉄再建法による赤字ローカル線廃止第一号は1983年の白糠線である。JR発足は1987年である。記事を書いた人はフリーランスライターだそうだが、鉄記事を書くからにはこれくらい調べてほしいな!と鉄ヲタっぽいことを言って終わる(^_^;)