とことこトレインは想像のはるか上を行く楽しい乗り物だった

錦川清流線では数多くの徐行区間を設けているが、工事のための徐行ではなく景観の良いところを徐行して観光客により一層景色を楽しんでもらいたいという配慮である。目的地に速達するという目標は既に放棄(^_^;) だが、それがいい
途中の乗降は極めて少なく、そのまま終点の錦町に到着。すぐに駅前の「とことこトレイン」切符売り場で往復券を購入。列車を下車する時に乗車証明書を貰っておくと「とことこトレイン」の往復券は200円引きになるので、是非貰っておこう。さらに言うと、事前に座席を予約しておくとよい。これについては錦川鉄道のWebサイトを参照、である。
今日は2両編成に結構な数の乗客がいるため、とことこトレインも激混みか?と心配したが、なんと2編成が続行運転することで解決。よくよく見ると客の多くは団体客だったようで、彼らは後続の編成に乗車。私の予約席は前を走る編成にあった。
とことこトレインとはいわゆるロードトレインという奴で列車のカタチはしているがタイヤで道路を走る乗り物。よくショッピングセンターや公園で列車のカタチをした奴が子供を乗せてチンタラ走っているが、とことこトレインはそれの親玉である。座席は一列4人掛けのベンチシートで、窓は無いので走行中は風を浴びまくる。素晴らしい!けど、10月はちょっと寒いかも…
とことこトレインは錦町駅から6㎞離れた雙津峡温泉(そうづきょうおんせん)まで運行。全区間国鉄・岩日北線の未成線である。未成線を走るからわざわざ乗りに来たわけだがね。運賃を取って専用軌道上を走り2点間を結ぶ乗り物は本来鉄道事業の免許が必要だが、この未成線の全区間を「岩日北線記念公園」という名の公園にしてしまい、とことこトレインはそこを走る遊具という位置づけのようだ。かなり強引ではあるが、いちおうこの乗り物は鉄道ではない。
錦町を出発するとすぐに長大トンネルに突入。これがこの路線最大のウリである「きらら夢トンネル」である。テンションも上がらぬうちからいきなり目玉登場である。特殊な光を当てると発光する石を壁に埋め込んで絵を描いたもので、最初は幼稚園児の絵から始まりほのぼのしているとだんだん本格化してトンネル一面にスゲー絵がびっしり描かれるようになる。しかもトンネル内で数分停止して絵を存分に堪能できる。正直、ここまですごいとは想像してなかった。
絵に圧倒されたところでトンネルを抜け、すぐに橋を渡る。その橋は片方だけ意味不明なコンクリが覆っているが、これはホームになる予定だったものだそうだ。うーむ、未成線としての魅力も存分に楽しめる。
2つ目の長大トンネルにはコウモリが住んでるとか。そんなの見たくないが…たしかにトンネル内はコウモリがいっぱい!それがトレインにビビッて乱舞しまくっている。うへー勘弁してくれ。意外に車内には飛び込んでこないが、薄気味は悪い。フンで爆撃されるかもしれないのも困る。
終点の雙津峡温泉まで40分もかかる。平均10km/hらしい。雙津峡温泉はその名の通り温泉があるわけだが、駅の近くにはないようでちょっと歩くらしい。駅には屋根と椅子とトイレと自販機以外は何もない。
客は家族連れかハイカー姿の団体客。みんな折り返して帰るのかと思ったら大半の客はケモノ道を通ってどっかに行ってしまった。テツっぽいのが一匹いたが、奴も折り返しの便には乗らない。そんな中、私の姿は上下ともスーツ着用でビジネスバッグ携帯である。はっきり、一番場違いな格好をしているという自覚がある(^_^;) だがしかし、テツやってる最中に身なりなど気にしてはおられない
折り返しの便は客はわずかで、私は一両貸切で存分に堪能。さっきのきらら夢トンネルでは行きとは違う地点で一時停止し、別の絵を楽しめる。だから往復乗ったほうがいいですよ、と。とことこトレインがこんなに楽しいとは想像以上だった。これはテツを自認する人は乗っておいた方がいい。