君は蒲田要塞を知っているか

東急線延伸で羽田接続=20年五輪前の開業目指す」…以前から構想はあるがなかなか実現しない、東急蒲田駅京急蒲田駅を結ぶいわゆるカマカマ線が、空港連絡と東京オリンピックを材料にして執拗にネタになっている。たしかに、両駅の間は数百メートル離れているので乗換したい人には不便ではある。でも、それだけ。東急と京急軌間が異なるので電車が直通できず必ず乗換が発生するため、空港連絡という点ではそれほど便利になるとは思えない。
そんなわけでカマカマ線の前途は暗いと私は思っているが、この件を調べていて蒲田要塞というワードがヒット。恥ずかしながら今まで知らなかったこの単語、蒲田にある要塞のような建物と言ったらアレしか思いつかないが、やはりそれが要塞と言われていた。
それがこれ⇒「【蒲田要塞】京急蒲田の駅がカオスすぎると話題」。京急蒲田と言ったら正月の箱根駅伝でランナーが引っかかっていた国道の踏切が有名だったが、あれを解消するため大金と長い時間をかけて駅を高架化。すると、まるで巨大な城壁のような威容になって生まれ変わったのである。
繁華街の狭い空間に大きな駅を作るために上下線ホームをタテに積み上げる“三階建て”が特徴で、それ自体は京成青砥駅の前例がある(こっちもえらい威容ではある)。メトロ根津駅とかりんかい線大井町駅とか、地下駅でも狭いところにホームをタテに積み上げる形の駅はあり、東京では割とよくある構造。そうそう小田急下北沢駅もこういう構造にすべく工事中だ。
京急蒲田駅空港線を分岐し、その線路が急カーブを描いているが、それが高速道路の分岐みたいに見えるのでまたの名を「蒲田ジャンクション」とも言うらしい。
京急蒲田では普通列車を特急・急行などが追い越すための待避ホームも設置したが、なにせ場所が狭いので本ホームと退避ホームを前後に配置。このため、ホームは一本だが横浜方を切り欠いて一本のホームに列車が3本止まれるようにした。結果、本ホーム12両+退避ホーム6両の18両分のホーム長となり、東海道新幹線ホームに近い長さとなった。
この前南海電車に乗った時に浜寺公園駅の上りホームだけが同じ構造になっていて仰天した。ホームの向こうにもう一本ホームがあってそこに電車が止まってて、あれ乗っていいの?状態(^_^;) そういえば昔の東武北千住駅も同じような形で退避線が存在したなぁ。今は解消したが。
これだけでもだいぶ複雑だが、問題なのは上り・下り・空港方面の三方向とも、それぞれ2階と3階から発着する列車があるそうだ。…だから自分の乗る列車が2階に止まるのか3階に止まるのか、乗換列車が2階なのか3階なのかで乗換時間が大きく変わると。また、待避線に入った普通列車と本線の特急・急行等との間の乗換も、ホームの前後を移動することになるため距離が長く、急ぐ客がホームを激走する「蒲田ダッシュ」なる単語も生まれた。かつての青函連絡船の乗換を思い出させるような話である。
最も笑う現象は、退避ホームに入る下り普通列車がいったん本線を通過して行く(または退避ホームを発車した上り普通列車が本線を通過して行く)ため、誤認した乗客が「普通列車が通過した!!」と騒ぎ出すとか。たしかにそれは大変だ(^_^;)
このように複雑怪奇な巨大迷路のような駅の構造が「要塞」と呼ばれるようになった所以だそうだ。普段使っている人でも攻略は容易ではない。私は一度この駅を使ったことがあるが、このような激しい乗換は行わなかったためこの駅の真の姿に接していなかった(たぶん上り線だけ高架化した半開業状態の時だったと思う)。知ってしまったらつぶさに観察したくなってきたが、現状で蒲田に行く用事は全く無いので、いつか利用した時にじっくりチェックすべし。
京急蒲田のような大きな駅を高架化するとどうしても要塞みたいになっちゃうよな。東急田園調布とか小田急下北沢とかはそれが嫌で大金かけて地下化を選択したが、蒲田の場合は大きな川があるのでその選択も無かったんだろう。もしかしたら前述のカマカマ線(地下になる予定)の絡みで地下駅が選べなかったのかも。