風立ちぬ の乗り物

この前みた映画「風立ちぬ」の話。宮崎駿監督は大の飛行機好き、兵器好きということで、「風立ちぬ」に出てくる飛行機などは相当に、呆れるくらいにマニアックに描かれている、のであろうと思われる。残念ながら私は飛行機マニアではないので、映画を見ていてかなり正確に描かれているのだろうなとは感じるが具体的にどこがどうとまでは指摘できぬ。軍用機の主翼にワケのわからないカタカナ3文字の記号(多分「名古屋」を示すのだろうと思ったが)があったが、あれも実際にそうだったのだろう。飛行機に対するこだわり様が半端ではない。
そういうわけで、鉄道マニアとしては作中に出てきた鉄道なら言及できるわけで。最初の方、主人公が乗った列車はオープンデッキにダブルルーフの明治って感じの客車(時代は大正時代だが)。連結器はネジ式でバッファーが付いていた。映画では主人公の乗った列車が関東大震災に遭遇することになるが、それは1923年のこと。国鉄車両の連結器をネジ式から自動連結器に一斉交換する大イベントがあったのが1925年なので、連結器がネジ式なのは正しいようだ。
作中に出てくる列車は車体長が短く見えたが、なにか意図的に寸足らずに描いたのかもしれぬ。それ以外は特におかしなところは見当たらず。大正から昭和初期という時代なので、機関車はキューロクやハチロクであった。主人公たちが乗る列車は普通列車っぽかったので、そこはC51やC53といった高速列車用ではなくキューロク・ハチロクなのだろう。冬の列車には機関車の次位に暖房車が連結されていた。ようやるわ。
走行音がまた、随分凝った感じがした。一回しか見てないので何とも言えないところはあるが、ボギー台車のガタンゴトンのほかに三軸台車のような音もしたので、おそらく炭水車(一軸台車×3か)の走行音だと思ったが、そんなのまで再現しますか。鉄ヲタどもから「音が変」と突っ込まれないように力入れたのだろうか。ご苦労なことだ。
とまあ、路面電車まで含めてかなり綿密に描いたのであろうと思ったのだが、一点だけ気になったことがあって…ある客車の形式に「ナデ〜」と書いてあった。ナデって電車じゃなかったっけ?私が客車だと思って見てた列車が実は電車だったのだろうか。これだけこだわって描いたのに、そこで単純ミスとは残念な。次見た時によく確認してみよう。