(23日の続き)SL列車は素晴らしい

大前神社で目的を達成した時点でまだ昼を少し回ったところだった。このまま帰るのはやや勿体ないので、真岡駅で手に入れたSL列車のパンフを見た。SL列車は主に毎週土日に運転されていて、昨日23日も運転日だった。時刻を見ると今は終点の茂木駅で折り返しの準備をしているはずだ。じゃあ、ちょっと見に行ってみるか。
そういうわけで国道294号をさらに先に行く。途中で国道123号と合流し、周囲の景色が若干山深くなってきたところで茂木に到着。真岡鐵道真岡線)に乗ったのは大学生の時だったと思うが、もう記憶がおぼろげで、茂木がこんなところだったか覚えがない。これはもう一度乗り直す必要があるな…。
と思いつつ駅に行くと、居ます居ます、テツっぽいのが何人も。SL列車は側線に入っており、SLは転車台で向きを変えて出発の準備は整えた状態で待っていた。客車は旧国鉄50系の3両編成だが、一号車はオハ50であり緩急車オハフ50は三号車のみだった。なるほど、そんな運用しているのか。国鉄時代は編成の両端は必ずオハフ50だったがな。それにしても、50系も今や現役なのはこことJR九州の展望客車くらいになってしまったか。厳密にいうとJR東のいわゆる「ゆうマニ」や北斗星の電源車マニ24、各地にある救援車代用のマニ50等があるが、それらは乗れないから。オリジナルの50系は真っ赤な塗色だったが、ここのは茶色に塗装されている。その心配りが有難い。
駅前のバスの回転場のあたりにはオッサンが大勢タムロしている。どうやらそれらはSL列車の乗客で、下りの茂木行きでここにきて折り返しのSL列車で帰っていくと見た。オッサンだけではなく若い女性の5人組もいてえらいはしゃぎようだが、彼女らも手に手にSL乗車券を持っている。
それにしてもまあ、茂木駅前のなんと物寂しいことよ。せっかくSL列車の乗客が駅で長居するというのに、過ごす場所がなくてこのくそ寒い中駅前の路上で立ち待ちするしかないとは。よーく見ると駅からちょっと歩いた交差点の向こうに手工芸館なる建物や庭園みたいなのがある。が、それだけじゃ暇は潰せないよな。何か手を打てばいいのに。
私も一通りSLを見て駅構内を眺めて、さて帰ろうかと思いつつまだ昼飯を食ってないことを思い出し、駅の売店で売っている串焼きのお餅を250円で購入。それをかじりつつうろうろしながら、改札口まで行って張り紙を見つけた。そこには、駅構内でSLを撮る人は入場券を買って入場しろと書いてある。
なに?入場券だと??
内心慌てて、しかし外面は平静を装いつつ出札窓口で入場券とはどんなものですか?と聞いた。すると、窓口のおばさんが取り出したものは…硬券硬券です!!
あるじゃないか!!
と、心の中で絶叫した。実際に叫ぶと完全にキ◎ガイなのでそこは自重したが、真岡駅ではキップ収集家には冷淡に見えたが茂木駅には硬券があった。券面にはSL特別入場券と記載があり、ここに長時間停車するSLを撮影する人が構内に入るために特別に用意したとわかる。値段は1枚100円と随分安く、日付印字は昔ながらのダッチングである。まことにうれしいサービスである。窓口氏はわざわざ「キップは記念に持って帰ってください」と言ってくれた。もちろん私は最初からそのつもりです!
せっかく入場する権利を得たのでホームに入ってSLが入線してくるのを待つことにした。定期列車が入線して折り返していった直後の14時15分ごろ、ついにSLは側線を動きだし、推進運転でホームに入ってきた。うーむ、SLは美しい。素晴らしいなホントに。牽引機はC12だが、全身黒光りしていてまるで新車のよう。実際に運転台などは作り直したのだろうけど。
当然ながらSLの周囲には人だかりがしてみんながカメラや携帯スマホで撮影を始めた。するとSLが突然モクモクと黒煙を吐き出し始めた。たぶんサービスで黒煙を吐くように機関士が操作しているのだろう。黒煙は不完全燃焼の証だという。機関士や機関助士のさじ加減で煙を白くしたり(白は水蒸気)黒くしたりできるようだ。それはいいけど、機関車の周りが真っ暗になってきた。SLすげえな。
黒煙が上がると何かが空から降ってきた。近くにいた若者が何だこれはと騒いでいる。若者よ、それはシンダ(石炭ガラ)じゃないかね。私もSLは馴染みがないから確信できないけど(^_^;) それだけじゃなく水滴も降ってくる。煙突から水蒸気も出ているので当たり前と言えば当たり前だが。
SL列車は定刻に出ていき、私はホームでスマホで動画撮影しながら見送った。なんかこれを続けたくなってきた。車で先回りすれば何回か撮影できそうな気がする。私は急いで車を出した。