古くて新しいウエストレベルの話

不倫調査隠し撮り 腰周辺でカメラ構えファインダー覗かない」…注目したいのは不倫調査ではなくて、カメラの使い方である。腰のあたりでカメラを構え、ノールックでシャッターを切る、いわゆるウエストレベルってやつだな。写真撮影といえばカメラを目に当ててファインダーを覗いて撮るアイレベルが一般的なので、確かに被写体に対して意表を突くことはできる。
自分もやったことがあるが、ピントや露出はもちろんだが、一番難しいのは水平を保つこと。すなわち、撮った写真が右や左に傾いたりしないようにするのが難しかった。もっとも傾いた写真はトリミングで修正できるし、不倫調査の場合は傾きよりも決定的な証拠を確実に写しこむことが何より重要なのだろう。
今のカメラはAEやAFのおかげで露出やピントに困ることはない(ちなみに私の場合はピントはパンフォーカスで対応した)。しかし昔の人はそんな便利機能は無いので、全手動でやっていたわけで…。そもそも一眼レフや二眼レフのアイレベルファインダーが開発されたのは意外と新しく1950年代とのことで、それ以前それらのカメラはウエストレベルファインダーだったそうだ。
昔写真雑誌のコラムで読んだ話だが、古いカメラを手に入れた人が外で写真を撮っていて、通りがかった老人に自分を撮影してくれるようお願いしてカメラを渡したら、構える間もなく「撮りました」と言ってカメラを返されたので、不思議に思いつつ現像したら写真がパッチリ写ってて驚いたそうだ。その老人はウエストレベル撮影の達人だったというわけだ。
今はデジカメの時代になり、背面のモニタを見ながら撮影ができるようになったが、そのモニタが回転することでカメラをどのように構えてもそのモニタを見ながら撮影ができるようになった。いや全く便利な世の中になったものだ。