渋い会社名、大阪市高速電気軌道

地下鉄民営化の準備会社「大阪市高速電気軌道」6月設立へ」…大阪市の公営交通、市バスと地下鉄が民営化することになって、バスの方は大阪市が100%出資する会社「大阪シティバス」に営業譲渡するという。大阪シティバスは既に市バスの一部路線を受託して運行しているが、全部譲渡を受けるという形になる。まあスムーズに進みそうではある。
一方地下鉄の方は新会社「大阪市高速電気軌道」を設立してそちらに移行することになるという。電気軌道?今のご時世に会社名に「軌道」と入れるとは、ご奇特な。
というわけでWikipedia大阪市交通局を調べたら全部解決。大阪市では地下鉄事業を「大阪市高速鉄道」、路線名(愛称じゃない正式名称)を「高速電気軌道第N号線」と呼ぶそうだ。高速電気軌道1号線=御堂筋線、みたいな。事業名と路線名で鉄道と軌道を使い分けてる点がイミフだが、大阪市の地下鉄は全線が軌道法に基づいた軌道であるらしい。だから電気軌道か!地下鉄以外の路線(ニュートラム)は軌道と鉄道が混在しているらしく、全体では鉄道事業と呼んでいるのだろうか。
会社名の「高速」もイミフだが(どこが高速やねん)、これは東京メトロの旧社名「帝都高速度交通営団」の「高速度」と同じ意味、すなわち「路面電車よりは高速」という意味である。
大阪の地下鉄でかねてから疑問だったのが車体の裾に着いてるマーク(局章)の「大電」というやつ。凄く曰くありげだけどどういう謂われだろう?と思っていたが…これは大阪市交通局の昔の局名「大阪市電気局」の電だそうだ。なるほど!ちなみに大だと思っていた上の部分は「澪標」という航路の標識で大阪市章であった。
では昔はなぜ「大阪市電気局」だったのかというと、戦前は電気事業と軌道事業を営んでいたからだという。そうだったのか!!
私は若いころ電気鉄道という会社名(南海電鉄とか東急電鉄とか)は「電気の鉄道」を営む会社だと思っていたが、実は「電気と鉄道」を営む会社のことだった。戦時統制で電気事業を強制的に買収されて戦後は鉄道事業しかやってないということになったが、戦前はむしろ電気が主力で鉄道は売り物の電気を使って営む兼業みたいなものだったとか…
そして大阪市ではそれを公営でやっていたということか。公営とは言えかなり重みのある歴史を持つ大阪市の地下鉄が民営化するときにつける会社名として「大阪市高速電気軌道」というのはピッタリではなかろうか。
これはあくまでも会社名なので、そのうちもっと親しみやすい愛称がつくことだろう。もしかしたら公募するかもしれないが、無難に「大阪メトロ」になるかもしれん。そしたら多くの人は会社名のことなど気にしなくなるだろう。東京メトロののことを会社名で「東京地下鉄」という人が滅多にいないように。