【お盆特別企画】1985年8月旅行記その12:札幌から函館まで

この日は連日より少し遅く始動。札幌7時55分発の特急「ライラック2号」で一気に室蘭まで乗り通す。特急電車は速く、室蘭まで2時間で行ってしまう。東室蘭から室蘭までは1985年3月から各駅停車となっていた。特急電車を使った普通列車なんて贅沢な。
その折り返しの普通列車東室蘭に戻り、季節特急「北斗4号」に乗車。季節特急とは定期列車と臨時列車の間にあるもので、毎日運転ではないが臨時列車より運転期日は多く最初からダイヤにスジがひいてある。この時期は多客期なので、たぶん毎日運転していたと思う。車両は新型ではない80系気動車。ボロくて遅いが気にしない。函館まで3時間近い長丁場である。
函館からは江差線江差行きに乗車し終点まで乗り通す。これがまた2時間かかる長丁場である。当時まだ全区間が非電化ローカル線だった江差線、これと言って記憶には無いが途中の湯ノ岱という山間の小駅で列車交換した際に硬券入場券をゲットし、こんなところの硬券持ってる奴なんてなかなかおらんやろと根拠ない自信を持ったりした。江差線は途中の木古内まで海沿い(津軽海峡)を走るが、そこからは山越え区間だと思っていたので、終点の一つ手前の上ノ国駅から海沿い(日本海)を走り出した時はちょっと嬉しかった。
木古内に戻って松前松前行きに乗るのだが、これがまた残念なことに日没終了。松前を即折り返しして函館に戻ってくるのに2時間半。九州出身で土地鑑の無い私なんかは、北海道の地図を見ていても道南の渡島半島って小さいなと勘違いしがちなのだが、実は渡島半島はメチャメチャ広い。後年この地をドライブした時に松前から函館まで100?以上あると看板に書いてあってビックリした。
函館着はもう22時過ぎである。次は夜行列車への乗車である。函館からの夜行列車は、鉄ヲタには有名な41列車。普通列車なので列車名は無い。普通と言っても未明の時間帯は主要駅だけ停車する快速運転を行う。この列車はいわゆる旧型客車での運転であり、それだけでも鉄ヲタには嬉しい。その最大の特徴は、私が乗車した車両・オハフ46 504にあり、これは「カーペットカー」であった。
「カーペットカー」は室内がフネの二等船室みたいに全面的にカーペット敷きになっていて、みんなで雑魚寝しながら一晩過ごすという素敵仕様。後年登場したカーペットカーは「はまなす」にしろ「サンライズ」にしろ人間一人分の仕切りがあって誰にも領域を侵されることは無いが、41列車のカーペットカーはただの床。早い者勝ち、寝っ転がった者勝ちであった。ただ野放図に転がったわけではなくお互いスペースは譲り合ってなるべく多くが寝られるようにはした。
しかし所詮は雑魚寝である。私もふと気がつくと目の前に女性の足があった。なんとも混沌とした列車であった。こんな経験は列車ではもう無いだろう。